「まさに嵐の中の船出だ」
自民の茂木幹事長は同日、荒天に見舞われた松江市を訪れ、自民新人で元財務官僚の錦織功政氏(54)の事務所開きでこう切り出した。一連の政治資金問題について「心からおわび申し上げる」とまず陳謝した上で、「勝たなければいけない」と訴えた。
島根1区補選は、細田博之・前衆院議長の死去に伴うものだ。小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降、細田氏が連続当選を重ねてきた自民党の牙城となる。
自民は同時に行われる衆院東京15区、長崎3区両補選で候補者を擁立できるか不透明となっている。首相周辺は「9月の党総裁選で再選するためにも、島根1区の議席は何としても死守する必要がある」と危機感を示す。
一方、立民の岡田幹事長は同日、島根県雲南市で開かれた集会で「島根1区で結果が出れば、日本の政治は大きく変わっていく」と強調した。集会後には「自民党は『落とせない選挙区だ』と考えているはずだ。天王山になる」と記者団に語った。
島根1区補選を巡っては、共産党が18日に候補者の擁立を見送り、立民の前衆院議員の亀井亜紀子氏(58)を自主的に支援する方針を表明した。国民民主も県連レベルでの亀井氏支援を決めており、自民との事実上の一騎打ちの構図となる公算が大きくなった。
もっとも、「政治とカネ」の問題で自民への逆風が強まる中、立民の支持率は低迷したままだ。
立民内からは「これだけ好条件がそろっているのに議席を取れなければ、執行部への批判が強まることは避けられない」(ベテラン)との声も出ている。