【死者5人】腎臓・肝臓に異常発生、小林製薬の『紅麹』が招く「食の安全」危機と巨大賠償額(2024年4月2日)

小林製薬“紅麹”が招く巨額賠償

 この騒動を医療従事者はどのように受け止めているのか。『四谷内科・内視鏡クリニック』で院長を務める高木謙太郎医師に話を聞いてみた。

「紅麹は赤い色をしたカビの一種。古くから発酵食品や食品の色づけなどに使用されます。紅麹に含まれる一部成分は高コレステロールの治療に使われる成分と同じですから、一定の効果はあると考えられます」

 一部の報道では、紅麹菌の中には『シトリニン』というカビ毒を作る成分があり、腎臓の病気を引き起こす可能性があるともいわれている。

「紅麹自体は、現状では広く活用されていますから、大量に、もしくは長期にわたって摂取などしない限り大きな影響はないと思います。

 しかし、個人差もありますし、もし紅麹を継続的に利用したという自覚があって、足のむくみや尿の出が悪いなど異変がある場合は、病院で検査を受けてもいいかもしれません」(高木医師、以下同)

 紅麹を含め、サプリや健康食品を摂取する上で留意すべき点はあるのか。

「今回の事件は、異物混入の可能性がありますし、今後の検証で明らかになるまで明言はできません。しかし、含有成分によっては、蓄積すれば腎臓や肝臓に何かしらの影響を与える可能性はあります」

 真相が明らかになるまで消費者の不安は払拭できないが、多くの企業の危機管理業務に携わった経験を持つ、社会構想大学院大学教授の白井邦芳氏は、小林製薬の対応が事態を大きくしたと苦言を呈する。

「回収を含めた巨額のコストを伴う経営判断がしづらかったのだと思います。ここで販売をストップしてしまえば、売り上げに多大な影響を及ぼすことになる。調査をして、確実な結論が出るまで待とうと考えたことが、間違った選択だったのだと思います」

 不測の事態こそ、早急な対応が求められると訴える。

健康被害が刻一刻と拡大している状況を考慮すれば、経営陣が認知してから遅くとも48時間以内に発表するべきだったと考えます。人の命に危機が及ぶ可能性があったわけですから、調査中でも、使用の停止や販売の一時中止などを決定するべきでした」(白井教授、以下同)

 

巨額の賠償責任と刑事罰の可能性も

 

【関連記事】