同社によると、29日時点で、サプリ「紅麹コレステヘルプ」を摂取した5人が死亡、114人が入院し、約680人が通院(予定を含む)している。
「未知の成分」について同社と厚労省は29日、「プベルル酸」とみられると公表した。青カビが生成する化合物の一種で、感染症のマラリアに効果があり、非常に毒性が強いとされる。人体への影響はわかっていない。
大阪工場では16年から企業向けに紅麹菌を培養し、紅麹原料を製造していた。同社は、紅麹菌がプベルル酸を生成するとは考えにくいとして、製造過程でカビ類が混入した可能性があるとしている。
大阪工場は昨年12月に老朽化で閉鎖され、製造に必要な設備は、子会社の和歌山工場(和歌山県紀の川市)に移された。小林製薬は和歌山工場について「カビが生えるところがないかラインを総点検している」と説明している。
厚労省は31日、和歌山工場も立ち入り検査する方針。大阪工場の現状を確認し、同社から説明を受けたうえで、実際の製造ラインを調べて原因究明を急ぐ。プベルル酸についても、人体への影響などの調査を進める。
◇
大阪工場では午前11時頃、大阪市職員5人が同社社員とともに入り、厚労省の職員11人も後に続いた。現場で同社の広報担当者は報道陣に「調査には誠実に対応し、しっかりと協力します」と話した。
大阪市と厚生労働省は30日午前、小林製薬が製造した紅麹(こうじ)原料を含む機能性表示食品による健康被害を受け、原料を製造していた同市内の工場へ食品衛生法に基づき立ち入り検査に入った。
検査したのは小林製薬の大阪工場(大阪市淀川区)。1940年に操業を開始して食品や日用品を製造していた。同社グループの生産体制見直しで2023年12月に廃止された。大阪市などは製造方法など当時の状況を聞き取り調査する。
31日には厚労省と和歌山県が同県紀の川市にある工場にも立ち入り検査をする見通しだ。
小林製薬の本社のある大阪市は27日、同社に対して「紅麹コレステヘルプ」など対象3商品の回収を命じる行政処分を出した。
これらの商品は大阪工場で生産された原料を使って岐阜県などのメーカーなどが製造していた。大阪市の依頼を受けて岐阜県は同県池田町の工場に立ち入り検査した。
小林製薬のサプリメントによる健康被害が広がっているため、武見敬三厚労相は29日、厚労省などが同社工場へ立ち入り検査すると明らかにしていた。
大阪市では横山英幸市長をトップとする対策本部を4月1日以降に設置する。商品の回収や健康相談への対応を進める考え。