小林製薬の紅麹をめぐる問題は、海外にも広がりを見せている。
台湾で販売されている小林製薬の紅麹を使ったサプリメントに印刷されていたのは、安全を示す緑のマーク。台湾当局が安全を認めた商品にのみ表示されるマークを得ていた事から、台湾の消費者は、安全を疑うことなく手に取ったみられる。
健康被害を受けたと主張する台湾人は、「緑のマークがあるということは、当局が認めたことだと思う。台湾当局を信じてこの食品を選んだが」と話した。
台湾メディアは、これまでに6人が健康被害を訴えていると報道している。
一方日本国内では、健康被害の拡大を受け原因特定に向けた動きが加速している。
厚生労働省は3月31日、紅麹原料を製造していた和歌山県内にある小林製薬子会社の工場を立ち入り検査した。この工場では、2024年1月から紅麹原料の製造を開始したが、想定外の物質が混入したとされる期間は、移転前の大阪市の工場で製造されていた。
大阪市の工場は現在、どのような状態になっているのだろうか。工場の機能は2023年12月に移転したということだが、現在も作業をしている人がいた。
近隣の工場で働く男性からは、工場の老朽化について指摘があった。この男性が働き始めたのは40年以上前だが、そのときには小林製薬の工場はすでにあったという。また時々修理している様子も見られたと話す。工場の外壁を見てみると、ところどころにひび割れがあった。
この工場で紅麹が作られる工程のどこかの段階で、健康被害を招いた可能性のある天然化合物“プベルル酸”が混入した可能性があると考えられる。
どのタイミングで混入したのだろうか。
古くから薬膳料理の原料として紅麹が使われる中国のSNSでは、民間での製造動画が多く投稿されている。紅麹を作る方法を紹介する動画では、紅麹の胞子を入れて培養した容器は、濃い赤に染まっている。清潔な状態を保つため、手袋を使って作業していた。
慎重に作られていたはずの工場での製造過程で、青カビ由来の危険な物質が入り込んだとすれば、どのような可能性が考えられるのだろうか。
東京大学名誉教授の唐木英明さんは、「培養室に入る人は厳重なプロセスがある。外から異物を持ち込むのは、なかなか難しい。原材料、そのどれかに青カビが入っていた可能性は考えられる」とみている。