コラム
RSS中山知子の取材備忘録
◆中山知子(なかやま・ともこ) 1992年に日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。小泉純一郎首相の北朝鮮訪問に2度同行取材。文化社会部記者&デスク、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスクを経て、社会/地域情報部記者。福岡県出身。青学大卒。
- 東京都議会閉会後、取材に応じる東京都の小池百合子知事(2024年3月28日撮影)
裏金問題が影響して支持率上昇のきっかけがつかめない岸田政権。今後の大きな命運を握る1つが、4月28日投開票の衆院3補欠選挙だ。細田博之衆院議長の死去に伴う島根1区は、与野党ガチンコ対決の見通しだが、キックバック問題で辞職した谷川弥一氏の辞職に伴う長崎3区は、自民の「不戦敗」が指摘される。
一方、昨年の東京都江東区長選をめぐる公選法違反事件で柿沢未途氏(自民党離党)が辞職したことに伴う東京15区(江東区)はこれまでに、保守系、野党系の候補予定者が乱立、激戦が予想される。当初、小池百合子東京都知事の出馬も「取りざた」されたが、小池氏は3月29日の定例会見で「取りざたしているのは、(メディアの)みなさんではないですか」と反論するように述べ、作家の乙武洋匡氏(47)に出馬を打診し、受諾を得たと明かした。15区補選への小池氏の出馬問題は収束したが、小池氏は乙武氏への選挙戦での「全面支援」も明言。候補者が乱立する中の負けられない戦いで前面に立ち、かかわることになりそうだ。
江東区では、昨年の出直し区長選で東京都の元幹部職員、大久保朋果氏が自民、公明、国民民主各党と、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会の推薦を得て初当選した。「ガチの小池氏系」といわれた大久保氏に自民党などが相乗りした構図だったが、実際に小池氏はこのところの東京の選挙で「自民党の駆け込み寺」のような存在になっている。
昨年末に裏金問題が発覚する前から、物価高や少子化対策などで的確な政策を打ち出せない岸田政権は、国民の不信感から支持率が低下。次期衆院選での候補者調整をめぐる公明党との一時関係解消もあって、自民党は昨年9月以降、立川、青梅の2市長選と立川市議補選で3連敗した。そこで頼ったのが小池氏という形に。小池氏側近に相乗りした江東区長選に続き、今年1月、一時、自公が推薦した元都職員の劣勢も伝えられた萩生田光一前政調会長の地元、八王子市の市長選では終盤に小池氏が応援に入ったことで巻き返し、裏金事件が直撃する中、デッドヒートを制して自公推薦候補が辛勝。「小池知事にとっては自民党に大きな貸しになった」(与党関係者)との声も出たほどだ。
小池氏が2016年、最初に都知事選に出馬した際、自民党は対抗馬を擁立し、その後も両者はしばらく緊張関係が続いた。しかし今では「小池氏なしで自民党は東京の選挙を戦えない」(政界関係者)関係に。今回の東京15区補選でも、独自候補の擁立は難しい自民党。関係者によると、自民が小池氏系の乙武氏に「相乗り」することには、過去の女性問題報道も影響してか、一部では慎重な意見も出たというが、背に腹は代えられないのも事実。「今回も小池知事のペースに巻き込まれている」との声も聴いた。
裏金問題で厳しい状態の自民党、ひいては岸田政権を、東京の選挙では間接的に小池氏が支えるような不思議な構造。その2人は3月30日、小池氏肝いりの「フォーミュラE」東京大会の会場で同席した。場所が東京15区補選がある江東区でもあり、違う側面からも関心が注がれた。その小池氏の今後について「都知事選3選出馬が既定路線」とする声がある一方、小池氏自身は何も語らず、これまでもご本人が否定しても消えない国政復帰への臆測は、なかなか消えない。
小池氏が2016年、最初に都知事選に出馬した際、自民党は対抗馬を擁立し、その後も両者はしばらく緊張関係が続いた。しかし今では「小池氏なしで自民党は東京の選挙を戦えない」(政界関係者)関係に。今回の東京15区補選でも、独自候補の擁立は難しい自民党。関係者によると、自民が小池氏系の乙武氏に「相乗り」することには、過去の女性問題報道も影響してか、一部では慎重な意見も出たというが、背に腹は代えられないのも事実。「今回も小池知事のペースに巻き込まれている」との声も聴いた。
裏金問題で厳しい状態の自民党、ひいては岸田政権を、東京の選挙では間接的に小池氏が支えるような不思議な構造。その2人は3月30日、小池氏肝いりの「フォーミュラE」東京大会の会場で同席した。場所が東京15区補選がある江東区でもあり、違う側面からも関心が注がれた。その小池氏の今後について「都知事選3選出馬が既定路線」とする声がある一方、小池氏自身は何も語らず、これまでもご本人が否定しても消えない国政復帰への臆測は、なかなか消えない。
その小池氏は3月30日の会見で「ゲームチェンジ」という言葉を3度、口にした。補選に擁立する乙武氏への評価の一環に加え、補選をめぐって自身の知名度や影響力に期待する声があると質問を受けた際も、「ゲームチェンジ」に言及した。裏金事件や派閥、国会のあり方などに対する改革の必要性に触れながら「(自民党は)与党の時と野党の時と言うことは違い、結局何も変わらないというのが、これまで続いてきたと思う。そういった仕組みを変える、まさにゲームチェンジが必要なのではないかと思う」と語った。
ビジネス用語としての「ゲームチェンジ」は、従来とは違う視点や価値観をもとに、市場で変革を起こすことを指す。小池氏が政治を舞台に思い描く「ゲームチェンジ」とは、これからどんな形になっていくのだろうか。
【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)