小林製薬「紅麹」問題 死亡判明は5人に 会社は午後会見へ(2024年3月29日『NHKニュース』)

小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、会社は新たに1人について亡くなる前に「紅麹コレステヘルプ」を摂取していたと遺族から連絡があったことを発表しました。

これで製品を摂取した後に死亡したことが分かった人は5人となり、会社は29日午後、記者会見を開くことにしています。

小林製薬の「紅麹」の成分が含まれた健康食品をめぐっては、摂取したあとに腎臓の病気を発症するなどしてこれまでに、▽4人が死亡、▽のべ93人が入院したことがわかっています。

会社は新たに1人について遺族から「亡くなる前に『紅麹コレステヘルプ』を摂取していた」と連絡があったことを明らかにしました。摂取していた時期は分かりませんが腎臓の病気が疑われる症状があったということで会社は、「原因となった可能性がある」として調査を進めています。

これで製品を摂取した後に死亡したことが分かった人は5人となりました。

「紅麹」の成分を含む「紅麹コレステヘルプ」など3種類の製品については大阪市が有害な物質が含まれている疑いがあるとして、食品衛生法に基づき、回収を命じる行政処分を出しています。

会社は29日午後に大阪市内で記者会見を開くことにしていて原因の究明や製品の回収がどこまで進んだかなどについて説明するものとみられます。

想定していない成分含まれたか 分析急ぐ

小林製薬によりますと、これまでに、腎臓の病気を発症した人が摂取した「紅麹コレステヘルプ」の製造時期を調査する中で、想定していない成分が去年4月から12月にかけて製造した紅麹の原料に含まれている可能性があることが分かっているということです。

この成分はカビから作られるものに似ているということで、会社は成分の分析を急ぐとともに、発生したいきさつや人体への影響などを調べることにしています。

坂本農林水産大臣「製品の迅速な回収に全力を」

坂本農林水産大臣は、29日の閣議の後の会見で、「健康被害の拡大防止が最優先であり、小林製薬には製品の迅速な回収に全力を挙げてもらいたい」と述べ、回収命令の対象となった製品の迅速な回収を会社側に求めました。また、坂本大臣は「消費者の不安が広がっていることから正しい情報の提供に努める」と述べ、消費者の不安の解消に向けて正確な情報発信に取り組んでいく考えを示しました。

武見厚生労働大臣「4350個が回収」

武見厚生労働大臣は、衆議院厚生労働委員会大阪市が回収命令の対象としている3つの製品の回収状況について、「市によると28日午後4時時点で、『紅麹コレステヘルプ』は4350個が回収され、『ナイシヘルプ+コレステロール』と、『ナットウキナーゼさらさら粒GOLD』についてはゼロだ」と述べました。

厚生労働省によりますと、▽「紅麹コレステヘルプ」は2021年から今月までおよそ100万個が販売されていて、回収率はおよそ0.4%だということです。

また、閣議のあと記者団に対し「ほかの省庁との共同作業を円滑に行うため、厚生労働省内に『省庁間連携室』を設けるとともに、タスクフォースを設置をした。さらに、国民や事業者からの問い合わせに対応するコールセンターを設置する準備を進めている」と明らかにしました。その上で「小林製薬から状況の説明を受け、国立医薬品食品衛生研究所の協力を得ながら、現在、検証を行っているところで、早期の原因究明に取り組んでいく」と述べました。

“台湾でも腎臓の病気を発症”報道

台湾でも、小林製薬の紅麹原料を使ったサプリメントを摂取して腎臓の病気を発症した女性がいると報じられるなど、この問題に高い関心が寄せられています。

台湾の複数のメディアが28日伝えたところによりますと、病気を発症したとされるのは、南部の高雄に住む70代の女性です。

この女性は、台湾のメーカーが小林製薬の紅麹原料を使って製造したサプリメントを3、4年前から摂取していましたが、去年3月に急性腎不全と診断されたということです。

台湾メディアは、女性の夫の話をもとに報じていますが、現地の衛生当局は、このサプリメントが病気につながったかどうかはまだ分かっていないとしています。

衛生当局によりますと、域内にも小林製薬の紅麹原料を輸入された記録が見つかったということで、現地の30を超える業者がこれらを使った製品の自主回収などの対応に追われています。

こうしたことから台湾でもこの問題に高い関心が寄せられています。