◆特定秘密保護法を実質的に拡大する内容
法案によると、重要経済安保情報は、漏えいすると日本の安全保障に支障を与える恐れがあるインフラや重要物資の供給網に関する情報で、扱う人は身辺調査を受け、セキュリティー・クリアランス(適性評価)で認定を受ける必要がある。より機密度が高い「特定秘密」の扱いを定めた特定秘密保護法を実質的に拡大する内容だ。
特定秘密については、政府による恣意(しい)的な指定が行われていないかなどを情報監視審査会でチェックする仕組みがあるが、重要経済安保情報は対象ではない。また、情報の指定や解除、適性評価の実施状況に関する国会への報告や公表についても規定がない。
立憲民主党の後藤祐一氏は「諸外国と比べてもおかしい。重要経済安保情報を審査会の対象にすると不都合があるのか」と質問。高市氏は「(国会で)特定秘密と同様の措置を講じれば、重要経済安保情報を(国会に)提供することになる」と明言した。
適性評価を巡っては、拒否した人に対し、不利益処分の対象になることを懸念する声がある。
立民の山岸一生氏は特定秘密保護法の施行以降、適性評価の実施に同意しなかった公務員が67人に上ると指摘し、不利益な取り扱いを受けていないか問うた。内閣官房の担当者によると、追跡できた44人で処分を受けた例はなく、約半数が通常の人事により翌年度末までに異動、5人が退職したという。
情報監視審査会 政府による特定秘密の恣意的な運用や適性評価の実施状況を監視するため、衆参両院に置かれた常設機関。各8人の議員で構成する。審査は非公開の秘密会形式で行い、内容を漏らした議員は懲罰の対象となる。審査結果に関する報告書を毎年1回、両院の議長に提出する。特定秘密の提示も要求できるが、政府は安全保障上の理由などで拒否することが可能なため、限界が指摘されている。