機密指定の要件は「法案成立後に政府内で決める」 経済安保情報保護法案が衆院内閣委員会で審議入り(2024年3月23日『東京新聞』)

 
 国が指定した経済安全保障上の機密情報を扱う民間事業者らへの身辺調査導入などを柱とする「重要経済安保情報保護法案」が22日、衆院内閣委員会で審議入りした。政府は、国会が関与しない機密指定に関し、内閣府の独立公文書管理監がチェックを担当すると説明したが、機密指定基準など依然としてあいまいな点が目立っている。

◆指定や解除のチェックは「内閣府の独立公文書管理監が行う」

 この日は自民・公明両党の与党質問のみで、何が指定情報に当たるのかを自民の簗和生氏ら複数の議員が質問した。高市早苗経済安保担当相は「重要インフラへのサイバー攻撃を想定した政府の対応案や、重要物資の安定供給の障害となる情報、国際共同開発に関し外国政府から提供された情報」などと例示。だが具体的な指定要件は、法案成立後に政府内で決める運用基準で示す考えを示した。
国会議事堂

国会議事堂

 公明の吉田久美子氏は、政府がどの情報を機密指定したかを国会に共有しないことを踏まえ「指定が真に必要で適正なものかどうかを監督できる仕組みが必要」と指摘。内閣府の担当者は、国会の非公開会議への提供は可能とした上で、指定や解除のチェックに関し「内閣府の独立公文書管理監が行う」と説明した。
 適性評価のための身辺調査を行う内閣府の組織に関し、自民党鈴木英敬氏がただしたが、担当者は「職員の専門性や体制は、指定情報や調査の件数の見込みなどを精査し進めたい」と説明。鈴木氏は「時間的余裕はなく、何も決まっていないということでは駄目だ」とくぎを刺した。
法案によると、政府はインフラや重要物資の供給網に関する情報のうち、漏えいが日本の安全保障に支障を与える恐れがあるものを「重要経済安保情報」に指定。その情報を民間企業などに提供する際には、守秘義務契約を結び「適合事業者」に指定する。情報を扱う社員らは身辺調査を受け、セキュリティー・クリアランス(適性評価)で認定を受ける必要がある。(大杉はるか)