行事へのご出席や国内外を問わないお出かけが多い佳子さまの、ご活動とファッションから目が離せません。弟の悠仁さまは今年9月には成人となり、ご活動の範囲もさらに広がっていきます。22世紀の皇室への橋渡し役を担っている若きプリンセスとプリンスのご活躍ぶりは――。
皇室を長く担当し取材を続けてきた毎日新聞客員編集委員でジャーナリストの大久保和夫さんに、佳子さまと悠仁さまの最近のご様子について伺いました。
南米ペルーに友好親善の訪問をされた佳子さま
―― 昨年(令和5年)11月30日のお誕生日に際しての記者会見で、秋篠宮さまは「……次の世代がいなくなれば当然のことですけれども高齢化し、また、人員が少なくなってきます。また、もちろん結婚して離れる、……ということもあります」とおっしゃっていましたね。
大久保さん:まさにそうですね。皇族の数が現実にどんどん減っていくし、お年を召してお出かけが難しい方も多いとなると、どうしても皇室全体の活動が縮小せざるをえません。そうした状況の中で、佳子さまのご活動が注目されています。
――佳子さまは、昨年12月29日に29歳のお誕生日を迎えられました。地方に10回ご訪問なさるなど、コロナ禍が収まりつつあり、お出ましの機会がとても増えましたね。3月には植樹の式典で茨城県へ、5月には東日本大震災の大きな被害があった宮城県石巻市にも訪れました。 その中でも特筆すべきは、11月1日から10日間の日程での南米ペルーへの公式訪問です。外国訪問は4年ぶりでした。日本との外交関係樹立150周年を迎えて、ペルー政府から招待されたのでしたね。
大久保さん:そうですね、佳子さまは非常にご活躍です。ペルーに行って、皇室の友好親善の役割をきっちり果たされ、とても頼もしい印象でした。ペルーの首都リマ市にある公立のろう学校「ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベン初等特別支援学校」で、各学年の授業の様子をご覧になり、聴覚に障害のある子どもたちとペルーで使われる手話で交流されました。わざわざ訪問の1ヵ月半前に手話のビデオを取り寄せて、練習して臨んだそうです。
手話を一つの言語として使いこなす
―― さまざまなシーンで手話を使われていますね。
大久保さん:佳子さまは、手話についてご自分の世界を築きつつあるように思います。全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員をされて、日常的に使っていらっしゃるということもあると思いますが、今や手話を完全にご自分のものにしブラッシュアップされています。 式典でのお言葉は、以前は手話と言葉を交えながら話されていましたが、最近は、はじめこそ手話とお言葉で語りかけますが、その後は、手話通訳者に訳して伝えてもらい、ご自身は手話だけで挨拶されます。
そのようにされるようになったのは昨年からです。佳子さまは「手話は言葉の補足ではなく、一つの言語である」という捉え方をしており、そのことを多くの人たちに伝え、広めたいという気持ちがあって、こういったコミュニケーションの取り方に変えられたのだと思いますね。
ペルーで佳子さまがされたのもスペイン語の手話ではなく、あくまでペルーの現地手話なんです。だから、スペインでは通じません。
佳子さまは「一つの言語として確立しているものがその国の手話である」という捉え方をされています。そこはかなりしっかりしたお考えがあり、自らそうした考えを実践を通じて、多くの人に「手話とは何か?」を考えてもらう機会を作られようとしているように思います。
ジェンダー問題について意識して発言
悠仁さまは大学進学を控え、好きなご研究を続けられて
―― 佳子さまの弟の悠仁さまは、昨年7月29日から鹿児島県で行われた全国高校総合文化祭「2023かごしま総文」に、初めての地方公務として臨まれました。今年、9月6日のお誕生日を迎えられると18歳となり、成年になられます。また来年の4月には大学の進学を控えています。
大久保さん:現在、筑波大学附属高等学校2年に在学中で、来春には大学に進学されますので、まだ学業の真っ最中ということで、静かに見守ってあげたいですね。ご自身が作った田んぼでイネの遺伝的研究や赤坂御用地や皇居内でトンボ類の生息環境調査をされ、ビオトープを作ったりするなど、広い意味での生物学と環境に関する分野に強い関心をお持ちのようです。 イネの研究では、中学生のころから交配実験を行ったイネの経過を観察されているんですよ。昨年8月の夏休みには、茨城県つくば市のイネの遺伝子などを研究している機関を訪問し、専門家から直接話を聞かれています。高校生にしては、相当程度の深い研究を続けています。 天皇陛下は、今年の誕生日に伴う記者会見で、「皇位継承順位2位である悠仁さまへの期待」を尋ねられ、トンボや野菜の栽培、学校のバドミントン部の活動について「生き生きと話してくれます」と悠仁さまの日常の一端を紹介されました。学園生活などについては、学校との関係もありなかなか私たちには伝わってきていないのですが、将来天皇になる方なので、国民に悠仁さまのお人柄などがよく伝わるように宮内庁も工夫をして欲しいですね。
―― 皇族の方々は、さまざまな分野で研究を続けられている方が多いですね。
大久保さん:ええ、例えば、昭和天皇は、変形菌類や植物などを、上皇さまは長年ハゼの研究をされ、研究論文を何本も書かれていますし、天皇陛下は水について研究され、国連でも講演しています。秋篠宮さまも自然科学と人文科学が交わる領域で幅広く研究し、博士号も取得されています。 いずれもお忙しいにもかかわらず、素人の研究ではなく、学会でも評価される本格的な研究をされています。こうした皇室で引き継がれている学問の流れを悠仁さまも受け継がれていると思われ、ぞんぶんに研究が続けられるような環境でいられるといいですね。
―― お好きなことがあるのは幸せです。好きを伸ばす方向に進まれるといいですね。
大久保さん:おっしゃるとおりで、いまは大学進学に関しても各大学でさまざまな選抜の方法ありますので、悠仁さまの希望に添うような形で進学できるといいですね。
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●大久保和夫(おおくぼ・かずお) 毎日新聞客員編集委員。長年、宮内庁担当記者を続け、皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、ジャーナリストとして活動している。
●聞き手 高木香織(たかぎ・かおり) 出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。 キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。 バナー写真/JMPA 構成・文/高木香織
大久保 和夫
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