奈良のメガソーラー計画再考も 自民修正予算案を可決、県議会(2024年3月25日『産経新聞』)

 
修正予算案の採決を見守る奈良県の山下真知事(中央)=3月25日、奈良市の県庁(秋山紀浩撮影)

奈良県の山下真知事が進める大規模太陽光発電施設(メガソーラー)を含む防災拠点の整備計画を巡り、これに反発する奈良県議会の自民党会派は25日、知事が編成した令和6年度当初予算案に代わる修正案を本会議に提出、賛成多数で可決された。修正案では関連事業費など約5200万円を削減した。

山下氏は審議をやり直す「再議」も示唆していたが、結局申し立てなかった。日本維新の会の公認知事として、山下氏が前任者の防災施策をゼロから見直す中で浮上したメガソーラー計画だったが、再考を余儀なくされそうだ。

自民案では、メガソーラー設置を含めた防災拠点の整備について「原点に立ち返って有識者らと検討すべきだ」とした。この日の採決で、出席議員42人(議長除く)のうち、自民に加え、公明党など26人が賛成した。共産党と無所属各1人は反対、維新の14人は採決前に退席した。

議会後の記者会見で山下氏は「当初(のメガソーラーに関する)案が優れていることに変わりない」としつつも「対案が出た際には検討したい。幅広く意見を聞きたいと思っている」と述べた。

一方、山下氏が重要施策として掲げた私立高校授業料無償化の関連事業費などは分離して採決され、賛成多数で可決された。

昨年4月の知事選で初当選した山下氏は、前知事の県政下で進められた2千メートル級滑走路建設などを含む同県五條市内の防災拠点の整備計画を見直し、機能を大幅に縮小してメガソーラーを設置する案を今年1月に発表。これに地元から反発の声が上がり、自民や公明の県議らも反対していた。

自民会派は当初予算案の修正案とは別に、太陽光発電施設設置の際に地元市町村長の意見を尊重することを盛り込んだ県条例改正案も提出。25日の本会議で可決されたが、山下氏が「条例の構造に問題がある」としてこちらは再議に付した。自民、公明などが改めて賛成したものの、再議での可決に必要な3分の2の賛成には届かず、否決された。奈良県議会での再議は戦後初めて。