楽しく、できるところから(2024年3月24日『山陰中央新報』-「明窓」)

フレイル予防の「ネギトレ」を体験する宮川花子さん(左)、大助さん(左から2人目)=2月24日、米子市末広町の市文化センター


 DIY(日曜大工)やAI(人工知能)などアルファベットが並ぶ言葉は、略される前の単語に戻してからのみ込む。アルファベットはまだ「復元」ができるが、丸覚えするしかないカタカナ語はもっと困る。日本語にすると、逆に難しい、そんな言葉の一つが「フレイル」だった

▼日本老年医学会が2014年に提唱した概念で「虚弱」と訳す。「健康」と「要介護状態」の間、身体的機能、認知機能の低下がみられるこの時期の過ごし方が「健康長寿」の鍵-。少し調べ、できるだけやさしく説明を考えてみたが、われながら固い

▼夫婦漫才コンビ宮川大助・花子」を迎え、先月、米子市で開かれたフレイル予防を考えるイベントで、そんな言葉との距離が少し縮んだ

▼闘病、介護体験を笑いに包む2人の話術に負けじと、講師の医師らも明快に解説。「しっかり動いて、しっかり人と付き合って、しっかり食べる」。予防のポイントを一言で言えば、こうなる

孤食やメニューの偏りが要因になる低栄養について、サッカーJ1横浜F・マリノスの栄養アドバイザーを務める新生暁子さんは講演で「好きな物をどんどん食べて」と呼びかけ、バランスの良い食事の目安を「1食で5色以上の『色』」と推奨した。運動も人との付き合いも、キーワードを挙げれば「楽しむ」か。50代を迎えて、まだまだ大丈夫のつもりでも、できることから備えておこう。(吉)

 

【動画】宮川大助・花子さんがフレイル予防へ「ネギトレ」、「フレ飯」に太鼓判 米子市でイベント(2024年3月24日『山陰中央新報』)

 

 健康と要介護状態の中間の「虚弱」を意味するフレイルの予防をテーマにしたイベント「支え合おうイキイキ生活」が24日、米子市内であった。夫婦漫才コンビ宮川大助・花子」の講演、予防に効果的な体操や食事の紹介を通じ、420人が元気なうちに備える大切さを学んだ。

 講演は多発性骨髄腫と闘いながら車いすで活動を続ける花子さんと、復帰を支えた境港市出身の大助さんが互いの体験を笑いに包んで紹介。大助さんは「健康は当たり前に続くと思っているが、年齢やちょっとしたきっかけで出てくる」と元気なうちにできることを考える大切さを訴えた。

 2人は続くステージで、両手を伸ばしたり引いたりして肩甲骨を動かすストレッチなど、「健康長寿」を目指して鳥取大病院などが考案したネバー・ギブアップ・トレーニング「ネギトレ」も体験。予防効果がある食事メニュー「フレ飯」として、地元食材を使った「サバドライカレー」などの紹介もあり、昼食で食べたという大助さんは「ホンマにおいしかった」と太鼓判を押した。

 予防月間に合わせて鳥取大と米子市が主催。サッカーJ1横浜Mの栄養アドバイザーを務める新生暁子さん、認知症予防に詳しい浦上克哉鳥取大教授の講演もあった。

(吉川真人)