SBI証券がポイント還元率を公表 クレカ積み立て投資どこが1番お得? ネット証券3社比較<最新版>

2024年3月22日 11時49分
 インターネット証券大手のSBI証券は22日、東京都内で説明会を開き、5月の買い付け分からクレジットカード決済による積み立て投資の上限額を5万円から10万円に引き上げると発表した。
 クレカ積み立ては金融機関を通じた送金などに比べてポイントが付くため、新NISA(少額投資非課税制度)などで人気を集めている。SBIが新たに発表したことで、大手3社のポイント還元率が出そろった。どこが1番お得なのか、徹底比較した。(山田晃史)

 クレジットカード積み立て投資 投資信託などを毎月購入する際、銀行からの引き落としや送金ではなく、クレジットカードの決済を利用する方法。送金などと違ってカード会社のポイントがたまる一方、証券会社ごとで使えるカードは限られる。法律の上限は10万円だが、カード会社の決済サイクルから上限に届かないよう月5万円が事実上の上限として定着。今年1月に始まった新NISAのつみたて投資枠が月換算で最大10万円となったことを受け、金融庁が3月8日に規制を緩和し、月10万円の積み立てができるようになった。

◆SBIは買い物での利用額で変化

 SBI証券のこれまでのポイントの還元率は、三井住友カードの年会費無料のカードで0.5%、年会費のあるゴールドカードは1%、プラチナカードが2%、プラチナプリファードが5%だった。
 10万円への引き上げにより注目された還元率の変化は、年間の買い物でのカード利用額によって変化をつけた。年会費無料のカードは10万円以上の利用で0.5%、ゴールドは10万円以上を0.75%に引き下げ、100万円以上は1%を維持。いずれも10万円未満だと0%になる。プラチナは利用額300万円未満が1%、300万円以上で2%。最も還元率の高かったプラチナプリファードはプラチナと同じ条件で500万円以上を利用すると3%になる。
 ただ、条件となる「カード利用額」は積み立てで使った分を含まないため、積み立てとは別に通常の買い物で利用額を達成しなければならないことに注意が必要だ。
 SBIは9月10日までに積み立て設定をする人には従来の還元率を維持するキャンペーンを実施。この期間中にプラチナプリファードは3万ポイント、ゴールドで6000ポイント、年会費無料カードで3000ポイントが得られる。担当者は「これを機に新たにNISAを始める人を取り込みたい」と語った。

楽天15万円までOK

 一方、楽天証券の還元率はこれまでと同じだ。年会費無料の楽天カードは0.5%、年会費のかかるゴールドは0.75%、プレミアムは1%。積み立てる投資信託によっては、カードの種類に関係なく1%の還元となるものもある。
 電子マネー楽天キャッシュを使った投資額の上限5万円も維持し、ポイントが付く決済の上限額は計15万円になった。ただ、楽天キャッシュ分の還元率は0.5%となる。
 広報担当者は「キャッシュレスの合計で月15万円の積み立てができるのが強み」と強調。積立額の引き上げをする人は増えているという。

マネックス5万円以下に強み

2強を追うマネックス証券は、これまでの上限だった月5万円までは還元率を1.1%に維持。5万円超7万円以内の範囲は0.6%、7万円超10万円以内の範囲は0.2%と、引き上げ部分を変えた。
 10万円を積み立てた場合の還元率は0.73%となる。広報担当者は「少額でも投資を始めてもらいたくて5万円以下は高還元率を維持。今後、改悪せずに続けられるように引き上げ分の還元率を決めた」と話す。
 現在利用できるのはマネックスカード1種類のみだが、今夏には親会社NTTドコモdカードにも対応するため、還元率が今後どうなるかも注目される。

◆年会費も加味して比べると…

 各社の方針が出そろったことで、現状ではどの証券会社のポイント還元がお得になるのか。月10万円を積み立てる条件で比較した。
 その場合、マネックスは月730ポイント。楽天はゴールドカード以上で750ポイント以上になり、マネックスを上回る。
SBIは年会費無料のカードでは月500ポイントだが、ゴールドで10万円以上利用すれば750ポイント、100万円以上の利用で1000ポイントで2社を上回る。
 
 ただ、カードには年会費がかかることに注意が必要になる。ポイント還元率が高くても、ゴールドカード以上で年会費がかさめば実質的にポイントが目減りするためだ。
 そこで、年間の積み立てでもらえるポイントから年会費を差し引いた場合、最もポイントがたまる組み合わせを比較してみた。
 マネックスは年会費が実質無料のため年8760ポイントが手元に残る。楽天はゴールドカードの場合に年9000ポイントをもらえるが、年会費2200円を引くと年6800ポイントとなる。
 SBIはゴールドの年会費が5500円だが、100万円以上の利用で無料となるため、買い物の利用額の多い人は年12000ポイントもらえる。100万円に届かなければ3500ポイントに目減りし、年会費無料カードで10万円利用した場合の6000ポイントを下回ってしまう。
 この結果、買い物額が100万円を超える条件付きではあるが、いちばんお得なのはSBI証券になる。

◆「一番大切なのは続けること」

YouTubeの資産運用系動画チャンネルで人気の「BANK ACADEMY/バンクアカデミー」を運営する小林亮平さん(34)は「5万円以下を積み立てる人はマネックス、15万円を積み立てたい人は楽天がいい。カード利用額が多く定期的に確認できる人はSBIがおすすめ。ただ将来、還元率などが変更される可能性もあるため、おまけ程度に考えて」と指摘した。
 さらに「資産運用で一番大切なのは続けること。日常生活に余裕を持てるよう給与の手取り額の5〜10%を目安にするといい」とアドバイスする。