食育標語コンクール(2024年3月22日『佐賀新聞』-「有明抄」)

 少子化に歯止めがかからない。厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値によると、2023年に生まれた赤ちゃんは過去最少の75万8631人だった

岸田文雄首相は「次元の異なる少子化対策」を掲げ、新年度予算案に具体化に向けた施策を盛り込んでいる。効果のほどは分からないが、子育て環境はよりよくしたい。1人よりも2人、3人…。本日付6面に載っている「家族だんらん食育標語コンクール」の最優秀作品を読んで、「きょうだいっていいな」と感じた

◆〈おにいちゃんに かてること やさいをたくさんたべること〉(鳥栖北小1年・阿部紗愛さん)。まだ、お兄ちゃんにはかなわないことばかりだが、野菜は好き嫌いなく食べられる。もしかしたら、お兄ちゃんは「野菜を食べなさい」と叱られているかもしれない。その隣で、ちょっと誇らしげに食べる妹。そんな家族の様子を想像すると、何ともほほ笑ましい

◆優秀賞の〈ママごめん パパのりょうりが せかいいち〉(立花小1年・福原匠音さん)は、男性の家事参加が進む家庭の風景だろうか。「ママごめん」の気遣いのひと言がいい

◆どの作品を読んでも、祖父母や親、きょうだいで囲む食卓の笑い声が聞こえてきそうである。「子どもがいるっていいな」。少子化対策を唱える首相の言葉よりも胸に響いてくる。(知)