◆野党は追及姿勢、でも「1票足りない」
立憲民主党と日本維新の会、共産党、国民民主党は19日の野党の国対委員長会談で、自民議員計10人の衆参政倫審での弁明について「実態の解明には全くつながらなかった」との認識で一致。政治資金収支報告書にキックバック(還流)の不記載があった衆院議員51人のうち、まだ弁明していない45人の政倫審への出席を求めた。
政倫審の審査は、疑惑について弁明したい議員本人が申し出るか、衆院では25人いる委員の3分の1以上が申し立て、過半数の賛成を得ることが実施の条件となる。野党の委員は8人にとどまるため、9人で申し立てるためには与党の賛同が欠かせない。
◆「仮に開いたとしても政倫審以上の話は出ない」と自民幹部
野党はさらに、安倍派の塩谷立氏ら5人のほか、政治資金規正法違反罪で逮捕、起訴された衆院議員池田佳隆被告の計6人の証人喚問を要求。安住氏は記者団に「塩谷氏らは事実関係を明らかにせず、保身に終始している。実態解明には偽証が罰せられる証人喚問を行わなければならない」と強調した。
与党は追加の政倫審や証人喚問による真相究明には後ろ向きだ。公明の山口那津男代表は19日の記者会見で証人喚問について「非常にハードルが高い」と指摘。自民幹部は「のめるわけがない」と完全否定した上で「仮に開いたとしても政倫審以上の話は出ない」と言い切った。
事件の真相はうやむやのまま、与党は関係議員の処分や再発防止に向けた法改正の議論を早く始める姿勢を示すことで、お茶を濁そうとしている。自民党内からは「重くても軽くても、国民の信頼は戻らない」(中堅)「国民が納得するわけがない」(若手)と、実態解明なき処分に冷めた見方も出ている。
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