【解説】17年ぶりの利上げ!マイナス金利解除で、暮らしへの影響は?今後の金融政策は?(2024年3月19日『日テレニュース』)


日銀は金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定、実に17年ぶりの利上げに踏み切った。“金利のある世界”で暮らしはどう変わるのか?また、今後の金融政策は?経済部・宮島香澄解説委員が植田総裁の会見などから詳しく解説する。

【動画】マイナス金利解除決定 日銀・植田総裁会見 17年ぶりの利上げ決まる

 

■総裁会見のポイント
――金融政策決定会合は、植田総裁の記者会見が終わりました。どんな内容でしたか?

今回は大きな政策変更、マイナス金利の解除は金融の正常化への第一歩ということで、転換点です。それで、記者たちからは総裁の個人的な感想や達成感を求めるような質問も何回も出たんですけれども、総裁は冷静に答えていました。いずれにしろですね今回は日本の金融政策にとって“大きな日”になりました。こちら会見のポイントです。

まず政策の変更、マイナス金利を解除しました。日本にとって17年ぶりの利上げになります。長短金利操作=YCC(イールドカーブコントロール)の枠組みを撤廃します。今後の金融調節は短期金利で調節すると明確に言いました。つまり、ここまで大規模な金融緩和が行われてきたわけですけれども、総裁の口から「異次元は必要がない」という言葉が出ました。

長期国債に関しては買い入れを継続します。当面は緩和的な環境を維持するということです。そうは言っても、今回政策を変更したのは、2%の物価目標の実現が見通せるようになったからです。今までの他の国であまりやってない金融調節から「普通の金融調節」に戻るということを明確に話しました。その判断のポイントについても質問が出たのですが、賃上げ、春闘の結果が良かったことは、はっきりポイントだと話しました。まだ全部が出ているわけではありませんし、これから出てくるデータは弱い可能性もありますが、ヒアリングなどを通して中小企業の賃上げに関しても「ある程度の姿が見込める」と総裁が話しました。

会見では、今後の利上げについて様々な形で質問がありましたが、不安要素は消費です。個人消費はまだそんなに強くはない、総裁も「消費に若干の弱さがある」と話しました。それでも今回政策変更したのは、今後「持ち直しをすると予想している」ということです。

今回の政策変更は、事前の報道や私たちの取材と一致していて、会見は穏やかな状況でした。驚きはなく。総裁にはこれまでの金融緩和はどうだったのかという質問も出たんですが、これまでの評価は「今やっているレビューで」とかわしていました。トータルとして大きな決断をしたのですが、それについて力強く何かを言うというより、穏やかに落ち着いた記者会見が行われたという印象です。

――この政策変更をうけて、市場はどうなりましたか?

私たちは普段、金利を上げると円高になるという話をしていて、今回もし何もしなかったら円安が加速するのではないかと注目していたのですが、今は18日より1円以上円安の方向に進んで、これは事前の予想も広く行き渡る中で、長期国債の買い入れに関しての文言が比較的慎重だったことが影響してるのではないかと思います。金融緩和をしっかり続けるというところに、予想より緩和的だと反応した可能性があります。

また、3月末は期末で、ドルが必要な企業もたくさんありますので、19日のような大きなイベントをちょっと待っていたかもしれない、イベントが終わってドルを買いに来たという可能性があります。

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