南米移住の被爆者、求めた救済 活動の記録、広島で展示(2024年3月18日『共同通信』)

 展示物の説明をする広島大原爆放射線医科学研究所の久保田明子助教=14日、広島市

 展示物の説明をする広島大原爆放射線医科学研究所の久保田明子助教=14日、広島市

 戦後、南米に移住した被爆者をテーマにした特別展が、広島大医学部医学資料館(広島市)で開かれている。
 長年、日本の援護制度の対象から外され、救済の道を開くため取り組んだ独自の調査記録など30点を展示。企画した広島大原爆放射線医科学研究所の久保田明子助教は「異国で困難を乗り越え、生きてきた被爆者を知ってほしい」と話す。5月17日まで。
 特別展では、協会が1988年に南米5カ国の被爆者を対象に実施した「在南米原被爆者調査」の原本も公開。被爆体験や健康状態を明らかにし、被爆者が抱える問題を掘り起こす目的だった。139人分の回答の一部を閲覧できる。
 

在南米被爆者の実態資料寄贈(2023年4月11日)

広島や長崎で被爆し、その後、ブラジルなどに移り住んだ在外被爆者の暮らしぶりなどを知ることができる資料が、広島県医師会へ寄贈され、今後、一般公開されることになりました。

この資料は、ブラジル在住の被爆者でつくる「在ブラジル原爆被爆者の会」が保存してきたもので、高齢化に伴い活動が困難になったとして、このほど広島県医師会に寄贈されました。
資料は、被爆者名簿や調査資料のファイルなどおよそ60種類あり、10日、報道関係者に公開されました。
このうち、会の前身の団体が1980年代に、ブラジルなどに住む被爆者およそ200人を対象に調査した資料には、被爆してつらかったことやくらしを支える収入などについて記されています。
当時は、在外被爆者には被爆者援護法に基づく医療費の支給がなかったことから「医療費が高く将来が不安でたまらない」といった切実な意見がつづられています。
広島県医師会の松村誠会長は「南米の被爆者の皆さんがいかに過酷な運命を生きてきたか資料から伺うことができます」と話していました。
広島県医師会では、今後、広島大学原爆放射線医科学研究所とともに資料を詳しく調査したうえで、ことし8月の広島原爆の日から一般公開することにしています。