広島や長崎で被爆し、その後、ブラジルなどに移り住んだ在外被爆者の暮らしぶりなどを知ることができる資料が、広島県医師会へ寄贈され、今後、一般公開されることになりました。
この資料は、ブラジル在住の被爆者でつくる「在ブラジル原爆被爆者の会」が保存してきたもので、高齢化に伴い活動が困難になったとして、このほど広島県医師会に寄贈されました。
資料は、被爆者名簿や調査資料のファイルなどおよそ60種類あり、10日、報道関係者に公開されました。
このうち、会の前身の団体が1980年代に、ブラジルなどに住む被爆者およそ200人を対象に調査した資料には、被爆してつらかったことやくらしを支える収入などについて記されています。
当時は、在外被爆者には被爆者援護法に基づく医療費の支給がなかったことから「医療費が高く将来が不安でたまらない」といった切実な意見がつづられています。
広島県医師会の松村誠会長は「南米の被爆者の皆さんがいかに過酷な運命を生きてきたか資料から伺うことができます」と話していました。
広島県医師会では、今後、広島大学原爆放射線医科学研究所とともに資料を詳しく調査したうえで、ことし8月の広島原爆の日から一般公開することにしています。