派閥の政治資金問題をめぐって、あす(18日)、自民党の下村元政務調査会長が衆議院政治倫理審査会に出席します。
h
注目される3つの焦点について解説していきます。
1.なぜキックバックは継続されたのか?
これまで衆参両院で開かれた審査会で大きな焦点となってきたのが、安倍・元総理大臣が中止を指示したとされる議員側へのキックバックが、なぜその後、継続されたのかについてです。
キックバックの継続について話し合いが行われたとされる、おととし8月の安倍派幹部らの会合には、すでに審査会で弁明を行っている西村氏、塩谷氏、世耕氏、そして18日出席する下村氏が参加していました。
今月1日の審査会では、西村氏が「ノルマ以上に売った議員から、返してほしいという声があり、8月の上旬に幹部で集まってどう対応するかということを協議したが、そのときは結論は出なかった」と述べたのに対し、塩谷氏は、「還付をどうするか、困っている人がたくさんいるから、『しょうがないかな』というくらいの話し合いで、継続になったと理解している」などと説明しました。
野党側が「説明が食い違っている」と指摘する中、参議院の審査会で世耕氏の発言に注目が集まりました。
しかし、世耕氏は、そのときの会合では「何か確定的なことは決まっていない」とした上で、「どこで誰がキックバックの継続を決めたのか」と問われると、「誰が決めたのか、私自身知りたい」などと答え、派閥幹部による意思決定がどのように行われたのか、依然、疑問は解消されていません。
【発言が注目される下村博文氏とは】
2.違法性の認識はあったのか?
下村氏は1月の記者会見で、おととし(2022年)8月の幹部会合の中で、「還付分は各議員個人の資金集めパーティーに上乗せし、収支報告書で合法的な形で出すという案が示された」と述べています。
また世耕氏は、先週の審査会で「話し合いの中で、当然、合法的な対応しかありえないわけですから、合法的な対応として、どういうことがあり得るかというアイデアが出たんだと思っている」などと述べています。
この『合法的』ということばの意味合いについて、野党側は安倍派幹部が違法性を認識していた可能性を示していると指摘しています。
これまで審査会に出席した幹部らが「違法性の認識はなかった」、「違法か適法かの議論はしていない」などと口をそろえる中、下村氏がどう語るのかが、今回の大きな焦点です。
3.いつキックバックは始まったのか?
もう1つの焦点は、キックバックが始まった経緯や時期についてです。
これまで塩谷氏が「20数年前から始まったのではないかと思うが明確な経緯は承知していない」と述べ、世耕氏は「少なくとも10数年前には始まったと思うが、いつ始まったのか分からない」と述べています。
また西村氏は「派閥の歴代会長と事務職の事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことで会長以外の幹部が関与することはなかった」などと語っています。
歴代の安倍派の会長は、安倍氏、細田氏、町村氏がすでに死去しています。
町村氏の前の安倍派の会長で、派閥への強い影響力を持っていた森・元総理大臣が、関与していたかどうかについて、これまで出席した幹部らは、「自民党のヒアリングで森氏の関与は認められていない」などと述べるにとどまっていて、こうした点についても下村氏がどのような認識や考えを述べるのかが注目されています。
専門家「これまでは国民の疑念深まり消化不良感」
政治過程論が専門の神奈川大学の大川千寿教授は「これまでの審査会では、政治資金の問題についての国民の疑念が解消されるどころかむしろ深まり、幅広い層に消化不良感を生んでいる」と指摘します。
その上で、下村氏が出席する18日の審査会について次のように話しています。
下村氏の修正の内容は
安倍派の事務総長を務めた下村博文・元政務調査会長は、自民党が行ったアンケートで、2022年までの4年間に不記載などの金額が、あわせて476万円あったとしていて、年ごとの内訳は2019年が36万円、2020年が124万円、2021年が188万円、2022年が128万円となっています。
自身が代表を務める政治団体「自民党東京都第十一選挙区支部」の2022年までの3年間の政治資金収支報告書に派閥からの収入、あわせて440万円を記載していなかったとして1月31日に収支報告書を訂正しています。
下村氏は自身のホームページで、ノルマを超えた派閥のパーティー券の販売代金について「専用口座で管理し、一切支出していない」とした上で、「寄付として記載されるべきものだったが、派閥事務局からの誤った伝達もあり、記載されないままとなっていた」などとしています。