参議院政倫審 安倍派の世耕氏 西田氏 橋本氏が弁明と質疑(2024年3月14日『NHKニュース』)

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題。
きょう、参議院政治倫理審査会が開かれ、午前は安倍派の世耕・前参議院幹事長が出席しました。
世耕氏は国民の政治不信を招いたと陳謝した上で、派閥の会計処理やキックバックの取り扱いには関与していなかったと釈明しました。

午後1時に再開し、安倍派の西田昌司氏の弁明と質疑が行われ、午後3時前から、橋本聖子・元オリンピック・パラリンピック担当大臣の弁明と質疑が行われました。

今回の問題を受けて、参議院では14日政治倫理審査会が開かれ、いずれも自民党安倍派の世耕・前参議院幹事長、西田昌司氏、橋本聖子・元オリンピック・パラリンピック担当大臣がそれぞれ弁明し、質疑が行われました。

参議院の審査会で弁明と質疑が行われるのは初めてです。

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《3人の弁明と質疑【詳細】》

◇橋本元五輪相 

橋本聖子 元オリンピック・パラリンピック担当大臣

「国会議員を辞めるべきと心に決めたこともあった」

「1度は国会議員を辞めるべきだと心に決めたこともあったが、多くの国民の負託を得て議席をいただいた以上、しっかりと国会議員としての責任や役割を果たしていくべきだという思いになり、今この場に立っている。責任の取り方は私なりに考えていかなければいけないと思う」と述べました。

「改選迎える議員のノルマなし 知らなかった」

参議院選挙の年に、改選となる議員にパーティー券収入を全額キックバックしていたとされていることについて「改選を迎える人だけがノルマがないというシステムは全く知らなかった」と述べました。

「政倫審への申し出 政治家それぞれの判断」

立憲民主党の吉川沙織氏は「経験や人望を生かして、申し立てをされている当選回数の多い議員や会派の幹部経験者などが政治倫理審査会に出席するようぜひ促してもらいたい」と求めました。

これに対し、橋本 元オリンピック・パラリンピック担当大臣は「これだけの政治不信を招いてしまった状況を見ると、政治家一人ひとりが説明責任を果たすべき問題だと思っている。ただ審査会への申し出は、政治家それぞれの判断だと思うので、個々の思いに任せなければいけないと思う」と述べました。

キックバックの仕組み認識「10年以上前から」

キックバックの仕組みがあるのを認識したのはいつだったか問われ「10年以上前からになるかと思う」と述べました。

政治資金規正法 厳しい改正必要だ」 

政治資金規正法について「まずは一人ひとりの国会議員が襟を正すべきだが、同時に、国民の皆さんに不信を抱かせないためにも厳しい改正は必要だ」と述べました。

「令和元年 政治活動のみに使った」

自民党牧野京夫参議院幹事長代理は「令和元年は選挙があった年だが選挙費用ではなく、政治活動費として使ったということか」とただしました。

これに対し、橋本・元オリンピック・パラリンピック担当大臣は「政治活動のみに使った」と述べました。

「使途明確にせねばならず 便宜的に借入金として計上」

「問題が発覚し、担当者に確認をして、借入金にしていたことを初めて知った。清和政策研究会の事務局から、記載しなくていいということは 言われておらず、政治活動として使うよう指示を受けていた。政治活動として使途は明確にしなければいけないことから、便宜的に借入金として計上し適切に処理をしたいということで、そのようにしたと報告を受けた」と述べました。

「全く知る事なかったことに心苦しく責任感じる」

「慣行的な資金の流れについては報道で初めて知った。長年にわたって政治活動を行い、清和政策研究会のメンバーの一員を担わせていただいている中で、全く知る事がなかったことに関しては、大変心苦しく責任を感じている」と述べました。

「今回、国会議員、さらに清和政策研究会やその会計責任者が立件されるなど、国民の政治不信を招くさまざまな事態に責任を痛感している。改めて国民に心から深くおわび申し上げる」と述べました。

その上で「慣行的に行われていたとはいえ清和政策研究会政治資金パーティーでの政治資金の取り扱いが長い間、違法な状態であったにもかかわらず、これに気づかず、正すことができなかったことは不明の至りだ」と述べました。

さらに「若手をはじめ多くの議員、そして、これまで私たちを支えてくれた皆様、各議員事務所の秘書の皆様にもつらい思いをさせてしまったことが心苦しく、本当に申し訳なく思う」と述べました。

「私的な流用や収支報告以外の支出 一切なかったと報告」

「還付金は本来、寄付金として収支報告の収入に計上すべきものだったが、領収書を発行できなかったため計上できず、担当者は困惑の末、便宜的に私個人からの借入金収入として計上した上で政治活動に適正に使ったということだった。私個人が清和政策研究会から寄付を受けていたという事実はない」と述べました。

その上で「担当者からは、還付金に限らず、政治活動に関わる資金の管理は厳正に行い、収支報告に記載していたとおり、政治活動への支出に充てており私的な流用や、収支報告以外の支出は一切なかったと報告を受けている」と述べました。

「清和会から『領収書はいらない』と言われていた」 

「問題が発覚したのち、改めて私の事務所の担当者に還付金の取り扱いについて詳細を確認したところ、政治資金として清和政策研究会の事務局の担当者から還付金を受け取っていたとのことだった」と述べました。

その上で「清和政策研究会の事務局からは、領収書はいらないと言われていたとのことだった。領収書を発行していないので、清和政策研究会からの寄付金として収支報告に計上することができなかったわけだが、そのような運用が、いつから、どのような経緯で行われるようになったのかということは事務所の担当者も承知していないとのことだった」と述べました。

「還付金存在知っていたが裏金という認識なかった」

清和政策研究会政治資金パーティーに関しては慣行的に売り上げ収入の中から各議員事務所に相応の還付が行われており、私も還付金の存在自体は知っていた。ただ政治資金として事務所内で適正に処理されているものと思っていたので、いわゆる『裏金』という認識はなかった」と述べました。

「収支報告書への不記載 報道されてはじめて知った」

政治資金パーティーにおける政治資金の取り扱いについて、収入と支出の一部を清和政策研究会の収支報告書に記載しないことは、長く慣行的に行われてきたようだが、私自身はこの問題が報道されてはじめて知った」と述べました。

「政治不信招き誠に申し訳ない 深くおわびする」

橋本元オリンピック・パラリンピック担当大臣は「国民の政治不信を招き、誠に申し訳ない。改めて深くおわびする」と述べました。

午後3時前

橋本元五輪相 弁明始まる 

参議院政治倫理審査会は午後3時前に再開し、安倍派の橋本聖子・元オリンピック・パラリンピック担当大臣の弁明が始まりました。

西田昌司氏 

西田昌司

「関わった人が事実関係を報告し進退考えるべき」

安倍派幹部に対し離党や除名などの処分を望むかどうか問われ「それも含め、まずは関わった人が正しく事実関係を報告し、その上でみずからの責任の重さを考えて進退を考えるべきだ」と述べました。

「なぜ不法な還付金続いたのか しっかり派閥幹部が話すべき」

安倍派幹部の責任について「なぜ不法な還付金が続いたのか説明責任を果たすべきで、なぜ、われわれがこういう事態に巻き込まれることになったのか、しっかり派閥の幹部が話すべきだ。その上で、みずからどういう責任の取り方をするのか示すべきだ」と述べました。

「選挙の時期は 引き出しの中で保管と聞いた」

令和元年の参議院議員選挙の年にキックバックされた142万円についても、翌年以降のパーティー券の購入に充てるため、派閥に預け、「預かり証」を受け取ったのかどうか問われ、「選挙の時期で、選挙事務が大変なので、その時はそのまま引き出しの中で保管したと聞いている」と述べました。

「還付やめる方針 連絡ないと断言していい」

立憲民主党の吉川沙織氏が「おととしの令和4年4月にいったん還付をやめる方針が出て、各議員にお知らせがあったとされているが、その連絡はあったか」とただしたのに対し、西田昌司氏は「少なくとも私はそういう記憶がない。ないと断言していいと思う」と述べました。

「誰も知らないというのは納得できない」 

吉川沙織氏は「このようなシステムが、組織の中で漫然と続けられ、是正されなかったことは構造的な問題ではないか。派閥としてどこに責任があると考えているか」とただしました。

これに対し、西田昌司氏は「肝心の安倍氏細田氏、町村氏など派閥のトップだった方は亡くなっているが、実務を担っていた事務局や派閥の幹部がいる。誰も知らないというのは私は納得できない」と述べました。

ノルマ設定の免除「知らない」

吉川沙織氏が「改選時にノルマの設定の免除があったかどうか知っていたのか」と質問したのに対し、西田昌司氏は「それはもちろん知らない」と述べました。

「パーティー券の販売 関与せず」

「ノルマがあることは知っていたが、いくらかも含めて、私自身は、一切パーティー券の販売などにタッチをしたことがない。具体的に関与していなかった」と述べました。

「世耕氏の答弁納得できない 派閥幹部は調べ報告する義務」

「継続を決めた経緯と誰がやったのかという事実関係を説明することが一番だ。それを私は何度も幹部にお願いをしたが、誰一人まともに答える人がいない」と述べました。

その上で「先ほどの世耕氏の答弁は私も聞いていたが、全く納得できない。派閥の幹部は、その時知らなくても調べて報告する義務があるのは当然で、それがないことが私は一番残念だと思う」と述べました。

「全額キックバック うかつなことだが存じず」

参議院選挙の年に、改選となる議員にパーティー券収入を全額キックバックしていたとされていることについて「うかつなことだが、まったく存じていなかった」と述べました。

「なぜ裏金常態化し続けたのかが一番の問題」

「刑事責任があるかないかということではなく、なぜ裏金が常態化し続けたのかが一番の問題で、このことを説明しない限り、国民の政治不信は免れない。私自身、派閥の総会でも幹部に強く説明を求めたが、残念ながら、その説明がない」と述べました。

「『課税すべきではないか』国民感情的には当然」

「『課税すべきではないか』という意見が出ており、国民感情的には当然だ。特に『裏金であれば、完全に個人の所得だ』という意見が出てくるのは当然だ。しかし今回の事件では東京地検特捜部が捜査して立件できる人は立件した」と述べました。

「安倍元首相がやめろと言ったのに続けた派閥幹部の責任重大だ」 

「誰が還付金を受け続けることを決めたのか、誰が還付金をやめないでくれと言ったのか、ここを明らかにすることが国民への説明責任だと思う。積極的に還付金が欲しいから続けてくれといった議員と、安倍元総理大臣がやめろと言ったのに積極的に続けていた派閥の幹部は、責任重大だ」と述べました。

その上で「何も知らない受動的な立場である人間と、主導的に還付金をやってくれと言った人、また還付金を継続させた人との間では全く立場が違い、責任のあり方も当然違う」と述べました。

「裏金蓄積や流用など一切ない」

「還付金は清和政策研究会のパーティー券のノルマの購入に充て、パーティー券の支払いに使う形なので、事実上『裏金蓄積』や『流用』などは一切ない。清和政策研究会から預かり証をもらっており、証拠として認めてもらっている」と述べました。

「担当者受け取り拒否も認められず」

清和政策研究会の事務局から私に報告がないまま、還付金は担当者に現金で渡されていた。担当者は受け取りを拒否し、正式に収支報告書に載る形の寄付として処理してほしいとお願いをしたが、認められず『みんながやっているのだから受け取ってもらわないと困る』という話になり、受け取っていたということだ」と述べました。

その上で「もし私に報告があれば当然、安倍氏と同様に『やったら駄目だ』と抗議をして、その後の展開は違う形になっていたと思っている。残念ながらそういう報告がなかった」と述べました。

「報道受け 事務所担当者を聞き取り 初めて存在知った」

「報道を受け、事務所の清和政策研究会のパーティー券を担当していた者から聞き取り調査をした結果、私の事務所でも還付金を受領していたことが判明し、そこで初めて存在を知った」と述べました。

「最終的に政治資金規正法違反 訂正の事実間違いない」

「受け取った金額の多い少ないや、対処方法の違いはあるが、最終的に政治資金規正法違反であり、訂正している事実は間違いない。派閥の幹部ではないが、その一員であり、政治不信を招いた責任の一端はある。国民へのおわびと同時に、国会議員としての説明責任を果たすため出席した」と述べました。

「幹部ではないが、政治不信を招いた 国民におわび」

清和政策研究会政治資金パーティーにおける政治資金の取り扱いに関し、何より、国民に深刻な政治不信を招いた。幹部ではないが、政治不信を招いた国会議員の1人として国民におわびを申し上げたい」と述べました。

午後1時

西田氏 弁明始まる 

参議院政治倫理審査会は午後1時に再開し、安倍派の西田昌司氏の弁明が始まりました。

◇世耕 前参議院幹事長 

世耕弘成参議院幹事長

「党のヒアリングで森元首相の関与 認められなかった」

かつて派閥の会長を務めた森元総理大臣にキックバックの経緯などを確認しないのか問われ「党で還付金を受け取った議員全員にヒアリングし、森氏の関与は一切認められなかった。誰が始めたかの確証は全然なく、決めつけるのもやや問題があるのではないか。森氏が会長を務めていたのは6年くらいで、誰がいつ決めたのかは分からないというのが正直なところだ」と述べました。

「知っていることは全部話した 説明尽くした」

今後、参考人招致や証人喚問などに応じる考えがあるのか問われ「私は刑事的には不起訴で嫌疑なしだが、参議院側の代表だった立場で少しでもきっちり説明しようと政治倫理審査会に出ている。私はきょう、知っていることは全部話した。説明は尽くしたと認識している」と述べました。

納税聞かれ「政治活動に必要な経費 雑所得にあたるものでない」

受け取ったキックバック分を納税するかどうかについて問われたのに対し「秘書が受け取って、秘書が管理をして、領収書がどうしても見つからないものもあるが、すべて政治活動に必要な経費として使った。そういう意味で雑所得にあたるものではないと考えている」と述べました。

ダンサー懇親会 参加の秘書に「謹慎申しつけ」 

日本維新の会の音喜多政務調査会長は「自民党青年局がダンサーを招いて行った不適切な余興に、世耕氏の秘書が参加し、金銭を渡していたと報じられている。還付金、裏金が使われていたのではないかという疑惑について否定できないのではないか」とただしました。

これに対し、世耕・前参議院幹事長は「少なくとも還付金を原資とするものを地元を対象に使うことは1円もないということを明確に申し上げておきたいが、極めて不適切で秘書を厳しく注意し、いま謹慎を申しつけている」と述べました。

 

「派閥幹部会合で違法性に思い致すことなかった」

おととし4月に派閥の会長だった安倍元総理大臣のもとでパーティー収入のキックバックの取り扱いを協議した派閥幹部の会合の際、違法性を認識していたか問われたのに対し「違法性を議論する場ではなく、ノルマ通りの販売とするという指示が伝達された場だったと思っている。その時点では、私は還付金を自分がもらってる認識がなかったので、収支報告上、どういう扱いになっているかに、思いを致すことはなかった」と述べました。

「8月5日の会合で現金還付の復活決まったことは断じてない」

立憲民主党蓮舫氏は「安倍元総理大臣が現金還付をやめると指示し、亡くなられて1か月もたたない時の話し合いの場で継続が決まったのではないか」と指摘しました。

これに対し、世耕・前参議院幹事長は「8月5日の会合で現金による還付の復活が決まったことは断じてない。この時私は『安倍元総理大臣の残した指示なのだから守るべきだ』ということを逆に明確に申している」と述べました。
その上で「ただお金の手当てをしなくてはいけないという方向性は合意できていたので、塩谷氏が言う『継続が決まった』というのは私はそういう趣旨ではないかと思っている」と述べました。

「代替案 知らないことはお答えできない」

おととし8月の派閥幹部の会合で協議された代替案について「誰が言ったかの記憶はないし、違法性の認識は全くない。私は『上乗せ』という案は出ていないと思っている。誠心誠意知っていることは全部話しているが、知らないことを言えと言われても、お答えできないことを理解してほしい」と述べました。

「パー券 清和会で購入 適法な形での案 私の提案でない」

おととし8月の派閥幹部の会合でキックバックを継続するための代替案を協議したと説明した上で「派閥の各議員個人のパーティー券を清和会として買うといった、極めて適法な形で対応していこうというアイデアだったので、私は『それなら異存はない』と申し上げたと記憶している。私は『この案はいい』と言ったが、私が提案したわけではない」と述べました。

「現金還付 誰が決めたのか私が知りたい」

立憲民主党蓮舫氏は「世耕氏、下村氏、塩谷氏、西村氏、松本事務局長がいた場所以外で、安倍氏が言った『現金還付をやめよう』という方向をひっくり返す会はないだろう。あなたが知らないところで誰が決められるのか」とただしました。

これに対し、世耕・前参議院幹事長は「誰がこんなことを決めたのか、私自身はっきり言って知りたいという思いだ。すべての会議の案内が私に来ているわけではないので、8月以降に会議があったかないかは分からないが、少なくとも参議院の連絡役である私は、令和4年のパーティー収支の扱いに関するミーティングには、8月上旬以降参加していない」と述べました。

「なぜ『やめよう』と言っていた現金給付になったかわからない」

蓮舫氏は「8月5日の意見交換の場で方向が決定づけられなければ誰が決めたのか。なぜ事務局長が、事務総長に就任した高木氏に『継続の方向が決まっている』と言えたのか。これも事務方の責任か」とただしました。

これに対し、世耕・前参議院幹事長は「なぜ突然、安倍会長が『やめよう』と言っていた現金による給付になったのか、残念ながらわからない。私自身は参議院への連絡役の立場の認識で、派閥全体の特にお金に関わることに口を挟むことはよくないという思いから、積極的に『あれはどうなったのか』と問わなかったことには大変後悔し反省している。あのときフォローしておけば、現金で返すという案を聞いて『それは駄目だ』と言えたと思う」と述べました。

立民 蓮舫氏「塩谷氏、西村氏、下村氏と発言食い違っている」 

蓮舫氏は「8月の幹部会で、塩谷氏は『困っている人がたくさんいるので還付継続になった』、西村氏は『結論が出なかった』、下村氏は『一定の方向を決めたことがない』と、発言が食い違っている」とただしました。

これに対し世耕・前参議院幹事長は「さまざまな意見が出ているし、各人、若干記憶があいまいで、食い違うところがあるのではないかと思う。いずれにしても、この時に何か確定的なことは決まっていない。大幅に各人の認識が違っているというわけではない」と述べました。

蓮舫氏「令和4年4月の幹部会で還付金やめるよう指示か」

蓮舫氏は「令和4年4月の幹部会以前に幹部が招集されたことは1度もなく、4月上旬の会でいきなり呼び出され、還付金をやめるよう指示されたということか」とただしました。

これに対し、世耕・前参議院幹事長は「私の認識はそうだ。事務所に保管されているスケジュール表と記憶のかぎりでいま説明している」と述べました。

世耕氏「処分 党で判断されること」

自民党による処分があれば受け入れるのか問われたのに対し「党で判断されることだと思う」と述べました。

「安倍元首相が幹部を呼んだ1回だけ」

おととし4月に派閥の会長だった安倍元総理大臣のもとでパーティー収入のキックバックの取り扱いを協議した会合について「日程表などで確認し、捜査当局にも説明しているが、安倍会長の議員会館の部屋だったと記憶している。私はメモを取っていないし、ほかの人が取ったメモを見たことはない」と述べました。

さらに「安倍会長が幹部を呼んだのは、その1回だけか」と問われたのに対し「私からすると1回だけだ。話し合ったというよりは安倍会長の決定を伝達され、私はそれを参議院側に伝えてほしいということで呼ばれたと認識している」と述べました。

「多くの議員巻き込まれた」

「事務局の言うとおりにしていた多くの議員が巻き込まれ、役職をやめることになったことについては、本当に私自身つらい思いだ。仲間に対しては、今後も思いを持って向き合っていくことで責任を果たしていきたい」と述べました。

「全額キックバック 決める過程に関与せず」 

参議院選挙の年に、改選となる議員にパーティー券収入を全額キックバックしていたとされることについて「決める過程に全く関与していないので、誰がどういう形でいつ決めたのかというのは、残念ながら全く説明できない」と述べました。

「資金確保のシステム 相談は一切なかった」

安倍派の参議院議員らから選挙資金を確保できるシステムを構築してほしいといった相談がなかったか問われ「そういう相談は一切なかった」と述べました。

「改選議員に全額キックバック 聞いていなかった」

参議院選挙の年に改選となる議員にパーティー券収入を全額キックバックしていたとされていることについて「働きかけはまったくしていないし、その後、決まったという連絡や相談もない。私は常に、派閥で決まったことがあれば参議院のメンバー1人1人に電話して丁寧に伝えているが、今回そういうことを伝えていない。まったく聞いていなかったということだ」と述べました。

「改選期議員のノルマなし どこからか始まった」

「『参議院議員選挙の年は、改選期の議員はノルマがない』というルールがどこからか始まって運用されていた」と述べました。

その上で、参議院選挙の年に改選となる議員にパーティー券収入を全額キックバックしていた可能性を問われ「今回の事態が報道されるようになって私も初めて知ったわけだが、各議員への還付状況や参議院議員の声を聞くとそういう運用がなされていた模様だ」と述べました。

「2013年くらいまで還付金発生を確認」

「今回、捜査の対象は時効が成立していない5年だったので、5年分は非常に精緻にチェックした。さらに2013年くらいまで、なんとかさかのぼれて、私の事務所にも還付金が発生していたことを確認できている。ただ、なかなか帳簿が残っておらず、いったい、いくらもらって、いくら使ったかということを正確に把握するのが難しい状況だ」と述べました。

「2022年8月上旬 ノルマ超過の人どうするかの会合」

「安倍会長が亡くなったあとも、私が出席している場で、現金による還付が決まったり、現金による還付を私が了承したというようなことは一切ない」と述べました。

また「当時の安倍会長からは2022年の5月のパーティーについて、4月上旬に幹部が集められ『ノルマ通りの販売にしたい』すなわち還付金はやめるという指示が出た。その後7月に安倍会長が亡くなり、その後8月上旬だったと思うが、塩谷会長代理、下村会長代理、西村事務総長、松本事務局長と私が集まった。その場で『ノルマをオーバーしてしまった人がいる。どうしようか意見を聞かせて欲しい』という趣旨の会合だったと思っている」と述べました。
「8月上旬に招集された会合以外には、そのほかの会合や打ち合わせがあったかないか分からないが、少なくとも私が参加する会合はなかった」と述べました。

キックバック 少なくとも10数年前には始まっていた」 

「会計責任者はNTTの先輩だが、当時の細田会長から依頼されて紹介しただけで、特に親密ということはない」と述べました。

また、キックバックの仕組みについて「いつ始まったか本当にわからない。少なくとも10数年前には始まっていたと思う。私は若いころはノルマ達成が精いっぱいで、還付金制度というものをほとんど意識しなかった」と述べました。

「政治的・道義的責任を取り参院党幹事長辞任」

政策集団の幹部と、資金管理団体の代表者としての政治的、道義的責任を取る意味で去年12月に参議院自民党幹事長を辞任した。今後二度と今回のような事態が発生することがないように、党の刷新本部や国会での議論を踏まえて、政治資金の取り扱いを含め、法の趣旨を完結させる体制や仕組みを整えることに1人の議員として尽力していきたい。私の資金管理団体においても、管理監督体制を抜本的に強化し、正確な政治資金の取り扱いと収支報告を徹底していきたい」と述べました。

「裏金的支出は一切確認されていない」

「還付金の支出先などは、すべて政治活動費などとして政治資金収支報告書に記載できる性質のものであり、不正な目的や、私的な目的でなされた支出、いわゆる裏金的支出は一切確認されていない」と述べました。

「事務所に現金で 監督不十分 そしり免れない」

「大変責任が重く、多忙な役職に切れ目なく就き続けたこともあり、政治資金を自分自身で管理することが困難な状況となっていた」と述べました。

その上で「問題となっている還付金は、私の事務所に現金で渡され、現金のまま管理・運用され、収支報告書の簿外での管理であったため、私自身のチェックに引っ掛かることがなかった。還付金を受け取っていたことを、長らく把握できなかったことは管理・監督が不十分であったとのそしりは免れない。国民の政治不信を招き、関係者に多大なご迷惑をおかけしていることについて心からおわびを申し上げる」と述べました。

「一部の贈答品代 支出先不明」

「私の資金管理団体においても、清和会から受領した政治資金パーティー券の売り上げにかかる還付金について、政治資金収支報告書の収入としての記載が漏れていることが判明した。その額は5年で1542万円になる。収支報告書の訂正が可能な令和2年からの3年分について訂正を行った」と述べました。

その上で「還付金が原資となった組織活動費のうち、一部の贈答品代についてはどうしても領収書を発見することができず、その金額、時期、支出先が不明となっている。贈答品代などは3年で60万円程度と推測される」と述べました。

「是正進言していれば、こんなことにならなかった」

「多くの後輩議員たちは、政策集団の事務局から『昔からこうなっているから』と指示されてそのとおり処理してきた結果、大きな批判を受けることになっている。各事務所の秘書の多くも何度も事情聴取を受けるなど、大変つらい思いをさせている。私が積極的に還付金問題について調査し、事務局の誤った処理の是正を進言していれば、こんなことにならなかったのにと痛恨の思いだ」と述べました。

「還付金を受け取っている意識なかった」

「今回の事態が明らかになるまで自分の団体が還付金を受け取っているという意識がなかった。もっと早く問題意識を持ってチェックし、派閥の収入としても記載されていないこと、議員側の資金管理団体でも収入に計上されていないことに気づいていれば、歴代会長に是正を進言できたはずだ。積極的に還付金問題について調査し、事務局の誤った処理の是正を進言していればこんなことにならなかったのにと痛恨の思いだ」と述べました。

「不記載一切知らなかったが責任痛感」

「私自身は、派閥で不記載が行われていることを一切知らなかったが、今回の事態が明らかになるまで、事務的に続けられてきた誤った慣習を早期に発見・是正できなかったことは幹部であった1人として責任を痛感している」と述べました。

「会計や資金の取り扱いに関与 一切なかった」

「清風会は政治団体ではなく、あくまでも参議院議員の親睦会の位置づけで、昨年、15人の常任幹事制度が導入されて、その1人に就任するまでは、私の政策集団での立場はあくまでも清風会の会長としてのものだった。清和会全体の運営について関与することはなく、安倍会長が亡くなるまでは総会で幹部席に着席することもなかった」と述べました。

その上で「収支報告書の作成をはじめ、清和会の会計や資金の取り扱いに関与することは一切なかった。パーティー券販売のノルマ、販売枚数、還付金額、ノルマ超過分の還付方法について関与したこともなければ、報告・相談も受けてこなかった」と述べました。

「政治に対する信頼大きく毀損 深くおわび」

「一連の『清和政策研究会』の政治資金パーティー券の売り上げにかかる還付金問題で国民の政治に対する信頼を大きく毀損したことについて、幹部であった1人として深くおわびを申し上げる。また能登の復興など議論すべき政治課題が山積する中で、政治とカネに関する議論に多くの時間が割かれることになってしまったことについても非常に申し訳なく思っている」と陳謝しました。

午前10時すぎ

世耕・前参議院幹事長 弁明始まる 

参議院政治倫理審査会が始まり、議員による傍聴や報道機関による撮影・録音を許可する手続きが行われたあと、傍聴する議員や報道関係者が入室しました。

そして先ほど再開し、午前10時すぎから自民党安倍派の世耕・前参議院幹事長の弁明が始まりました。弁明は15分間の予定で続いて各党の委員による質疑が行われます。

審査会の焦点は? 詳しく

これまでの議員の説明などによりますと、安倍派では、おととし4月に当時会長だった安倍元総理大臣が、派閥から議員側へのキックバックをとりやめる方針を決めたものの、7月に安倍氏が亡くなり、キックバックが続けられたことがわかっています。

 

その経緯で重要なポイントとされるのが、安倍氏が亡くなった翌月・8月に行われた派閥幹部らの協議です。

 

当時、会長代理だった塩谷・元文部科学大臣と下村・元政務調査会長、事務総長だった西村・前経済産業大臣参議院側を代表して世耕・前参議院幹事長が出席したとされます。

 

この協議について、先の衆議院政治倫理審査会で、西村氏は「ノルマ以上に売った議員から『返してほしい』という声があり、どう対応するかを共有したが、結論は出なかった」と説明しました。

一方、塩谷氏は「多くの所属議員から『困っている』という意見があり、『ことしに限って継続するのはしかたがないのではないか』という話し合いがなされた。『継続していくしかないかな』という状況の中で終わったと思う」と述べました。

 

これについて立憲民主党などは説明に食い違いがあるとして、さらなる実態解明が必要だとしています。

また、この協議をめぐっては、下村氏がことし1月の記者会見で「還付分は各議員個人の資金集めパーティーに上乗せし、収支報告書で合法的な形で出すという案が示された」と述べています。

 

この「合法的な形」という発言について、野党側は安倍派幹部が違法性を認識していた可能性を示していると指摘しています。

さらに安倍派では、参議院選挙の年に開いたパーティーについては、改選となる議員にパーティー券の販売ノルマを設けず、集めた収入を全額キックバックしていたこともこれまでの関係者への取材でわかっています。

審査会では、政府や党の要職を歴任し、安倍派の幹部を務めてきた世耕氏がこうした点についてどのような説明をするのかが焦点となります。

《3人の経歴と政治資金めぐるこれまで》

◇世耕 前参議院幹事長 

世耕弘成氏は参議院和歌山選挙区選出の当選5回。安倍元総理大臣に近かったことで知られ、経済産業大臣官房副長官などを歴任しました。

2019年からは自民党参議院幹事長を務めましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で去年12月に辞任しました。

所属していた安倍派では「5人衆」と呼ばれる議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。また、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックの取り扱いを協議した幹部の1人とされています。

今回の問題を受けて、党が行ったアンケートには、政治資金収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入がおととし・2022年までの5年間で1542万円あったと報告しています。

世耕氏はことし1月の記者会見で「政治資金の管理は秘書に任せきりの状況だった」と釈明した上で、「私の管理監督が不十分だったという指摘は否定できない」と陳謝しました。

西田昌司氏 

西田昌司氏は参議院京都選挙区選出の当選3回で、これまでに自民党政務調査会長代理や参議院国会対策委員長代行などを務めました。

去年10月に参議院の政治倫理や選挙制度に関する特別委員長に就任しましたが、派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けてことし1月に交代しました。

今回の問題を受けて党が行ったアンケートには、政治資金収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入がおととし・2022年までの5年間で411万円あったと報告しています。

西田氏は先週、政治倫理審査会に出席する意向を表明した際、「組織的に派閥の記載漏れや裏金化をやっていたことを私も初めて知った。経緯を説明するのが派閥の幹部の責任であり、していないことが政治不信の一番のもとだ。そのことも含めて意見を言いたい」と述べていました。

◇橋本元五輪相 

橋本聖子氏はは参議院比例代表選出の当選5回。

スピードスケートや自転車競技の選手として7回オリンピックに出場し、参議院議員となった後は、オリンピック・パラリンピック担当大臣や自民党参議院議員会長などを歴任しました。

2021年に森・元総理大臣の後任として、東京オリンピックパラリンピック組織委員会の会長に就任した際に政治的中立性を明確にするとして自民党を離党し、その後、復党しました。

所属していた安倍派では、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーを務めました。

今回の問題を受けて党が行ったアンケートには、政治資金収支報告書に記載していなかった派閥のパーティー券収入がおととし・2022年までの5年間で2057万円あったと報告し、6番目に多い額となりました。

ことし1月には、記者団に自身が派閥からキックバックを受けていたことを説明し「政治不信を招いたことを深く反省している」と陳謝していました。

「政倫審」開催のいきさつは 

政治倫理審査会は、議員が政治倫理に関する規範に著しく違反して、政治的、道義的に責任があるかどうかを審査する場として衆参両院に設けられていて、審査会の委員が申し立てをするか、疑惑を受けた議員本人が申し出ることで開かれます。

先に衆議院で開かれた審査会は、岸田総理大臣と、安倍派と二階派の事務総長を務めた5人が、みずから審査会に審査を申し出たことで開かれました。

一方、今回の参議院の審査会は、立憲民主党など野党4党が
自民党の議員31人と
▼在宅起訴されて自民党を離党した議員のあわせて32人の出席を求めて開催を申し立て、全会一致で弁明と質疑を行うことが決まりました。

これを受けて、審査会は32人に対し出席するかなどの意向確認を行いました。

その結果、いずれも安倍派の▽世耕・前参議院幹事長と▽西田昌司氏、▽橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣の3人が出席する意向だと回答しました。

そして、与野党で日程や公開のあり方などを協議し報道関係者にも公開する形で3人の審査を行う運びとなりました。

参議院の審査会で弁明と質疑が行われるのは初めてです。

衆院での議論は?

衆議院では、先月29日、今月1日と2日間、審査会が開かれ、岸田総理のほか、いずれも事務総長経験者である安倍派の西村・前経済産業大臣、松野・前官房長官、塩谷・元文部科学大臣、高木・前国会対策委員長、そして、二階派の武田・元総務大臣の5人が出席しました。

特に安倍派の4人に対しては、キックバックと収支報告書への不記載が始まった経緯や長年続いてきた事情について質問が集中したが、4人とも事務総長として関与しておらず、違法性の認識もなかったと強調していました。問題の核心に触れる新しい情報はほとんど出なかったと言えます。

中でもおととし4月に、当時会長だった安倍元総理がキックバックをとりやめる方針を決めたにもかかわらず、安倍氏の死後、なぜ継続されることになったのかという点が明らかになっておらず、野党側は西村氏と塩谷氏で発言が食い違っていると指摘しています。

また、西村氏から事務総長を引き継いだ高木氏は「一切関与していない」と説明しているほか、松野氏も「当時は閣内にいて派閥の役職を退いていたので分からない」と述べています。

立憲民主党などは、この点についてさらなる実態解明が必要だとしています。