◆自民党には「誰も知らないこと」がいっぱいあるのか
安倍晋三元首相の側近だった世耕氏は参院安倍派約40人のトップで、派閥を取り仕切る有力者「5人組」の1人。まず、裏金づくりの発端を問われたが「本当に分からない」と明確な説明はなし。裏金や還流システムを知り得る安倍派の事務局長は、世耕氏が同じNTT出身という縁で派閥に引き入れたはずなのに「紹介しただけで、特に親密ではない」と述べ、深い関係がないことを強調した。
次に焦点となったのは、安倍氏が2022年4月、販売ノルマ超過分の現金還流は「疑義が生じかねない」として派閥幹部らに廃止を指示したのに、安倍氏の死後に還流が復活された経緯だ。22年8月以降に再開が決まった状況について「分からない」を連発し、自身の関与を否定し続けた。
先の衆院政倫審では、8月上旬の会合で還流再開が決まったとする当時の塩谷立会長代理と、その認識がない西村康稔事務総長で食い違った。世耕氏は会合が8月5日にあったと明かし、還流について確定的なことは決まらず、違法性の認識はなかったと釈明した。
◆同じ安倍派の西田昌司氏は自らの弁明なのに世耕氏らを非難
また、参院選の年に改選を迎える議員にノルマが課されず、販売した全額が還流された「独自ルール」は「私に何の相談もなく勝手に決まっていた」と、参院安倍派の代表者らしからぬ弁明に終始。還流の裏金は課税対象の雑所得となり得るため、15日の確定申告の期限までに納税するかを追及されたが、世耕氏は60万円の使い道が不明としつつも「政治活動に使っている」と納税を否定するなど、苦しい答弁が続いた。
西田氏は自らの弁明の際に「幹部は知らなかったとしても調べて報告する義務がある」と責任逃れを続ける世耕氏らを非難。離党や除名といった処分が必要かを問われて「それを含めて自ら進退は考えるべきだ」と突き放した。