自民・世耕氏、安倍派資金還流「関与ない」 参院政倫審(2024年3月14日『日本経済新聞』)

 

 

参院政倫審で弁明する自民党の世耕前参院幹事長(14日午前)

参院は14日午前、安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー収入の疑惑を巡り政治倫理審査会を開いた。自民党世耕弘成参院幹事長が出席し、資金の還流について「関与したこともなければ報告、相談も受けていない」と発言した。

参院政倫審の実質的な審査は1985年の設置以降初めて。2月29日、3月1日両日の衆院政倫審と同様に報道機関に全面公開した。午後には西田昌司氏と橋本聖子元五輪相も出席する。

安倍派は参院選の年のパーティー券販売を巡り、参院の改選議員はノルマをなくし、販売額の全額を還流していたとの指摘がある。世耕氏も選挙があった2019年の還流額は600万円ほどと他の年よりも金額が大きい。

世耕氏は全額還流の仕組みがあったと認めつつ「いつからあったのか、誰が決めたのかも分からない」と述べた。仕組み導入の経緯は「全く関与していない」と強調した。「選挙に使うことはあり得ない」と語り、選挙資金への活用を否定した。

自らの政治団体への還流に関しては「今回の事態が明らかになるまで、自分の団体が受け取っている意識がなかった」とも語った。

安倍派会長だった安倍晋三元首相は22年4月に還流の廃止を指示したものの、安倍派の還流は継続された。世耕氏は安倍氏が廃止を指示した4月の幹部会合、安倍氏の死去後の8月上旬に還流を巡り議論した会合に出席していた。

世耕氏は安倍派で還流が続いた経緯について「私が出席している場で還流が決まったり、私が了承したというようなことは一切ない」と強調した。22年8月の会合で資金還流の扱いを協議したが、それ以降の協議に自身は参加していないと説明した。

1日には衆院政倫審に歴代事務総長を務めた安倍派幹部4氏が出席したものの、継続を判断した具体的な経緯は不透明なままになっている。

世耕氏は還流の仕組みが始まった時期に関しては「本当に分からない。少なくとも十数年前には始まっていたと思う」と話した。「国民の政治に対する信頼を大きく毀損し、深くおわびを申し上げる」と陳謝した。