東海大付属福岡高(福岡県宗像市)の2年生の男子生徒(当時17歳)が2021年3月、所属していた剣道部でのいじめ被害を訴える遺書を残して自殺した問題で、生徒の母親が、いじめの加害者とされる上級生4人に対し「自死に至らしめるほど強い精神的苦痛だった」と損害賠償を求めて福岡地裁に提訴した。
亡くなったのは侑大(ゆうだい)さん(名字は非公表)。13日に記者会見した母親らによると、提訴は命日の10日付。損害賠償の請求額は明らかにしていない。
訴状などによると侑大さんは1年生だった19年4~6月、剣道部の部室で4人から粘着テープで両手、両足などを畳に貼り付けられた上、下着を脱がされてわいせつな行為をされるなどのいじめを受け、21年3月10日に自殺した。4人のうち1人は強制わいせつの非行内容で家裁送致され、2年間の保護観察処分となった。
母親によると、21年12月ごろに4人のうち3人から「謝罪文」が代理人弁護士の事務所に届いた。ただ「不快な思いをしたなら申し訳ない」という内容で、文章も短かったという。母親は会見で「(謝罪文は)反省している内容ではなかった。提訴の一番大きな理由は謝罪がないことで、いじめを認めて償ってほしい。加害者に忘れないでほしいという思いで命日に提訴した」と話した。 この問題を巡り、学校側の調査委員会はいじめを認定した一方で、自殺の直接的な原因は特定できないとした。遺族側の依頼を受けた県が再調査の実施を決めている。
福岡 高校生自殺 当時の部活の上級生4人に賠償求め 遺族が提訴(2024年3月13日『NHKニュース』)
3年前、福岡県宗像市にある私立高校で当時2年生の男子生徒がいじめ被害を訴える遺書を残して自殺した問題で、遺族は「当時の同じ部活の上級生4人が自殺に至らしめるほど強い精神的苦痛を与えた」と主張して損害賠償を求める訴えを起こしました。
訴状などによりますと、3年前の3月10日、福岡県宗像市にある東海大学付属福岡高校に通っていた当時2年生の侑大さんが、所属する剣道部内でのいじめ被害などを訴える遺書を残して自殺しました。
命日にあたる今月10日、侑大さんの母親は「上級生4人が自殺に至らしめるほど強い精神的苦痛を与えた」と主張し、4人に損害賠償を求める訴えを福岡地方裁判所に起こしました。
訴状などによりますと侑大さんは高校1年生の時、同じ剣道部の寮にいた上級生4人から粘着テープで体を畳に貼り付けられ、下着を脱がされてわいせつな行為をされるなどのいじめを継続的に受けたということです。
母親は13日、会見を開き「加害者たちは侑大や遺族に直接、謝罪をしていません。犯した罪を認め償ってもらいたいと思い、提訴しました。命日に提訴したのは、加害者にも忘れないでほしいという気持ちからです」と話していました。
この問題をめぐっては、高校が設置した第三者委員会が自殺の直接的な原因は特定できないと結論づけましたが、母親が福岡県に対して再調査を求め県は先月、再調査を実施することを決めています。
◇相談窓口
・24時間子供SOSダイヤル いじめやその他の悩みについて、子どもや保護者などからの相談を受け付けています。原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながります。 0120・0・78310=年中無休、24時間。
・子どもの人権110番 「いじめに遭っている」「家の人に嫌なことをされる」など、先生や親には話しにくい相談に法務局の職員や人権擁護委員が応じます。 0120・007・110=平日の午前8時半~午後5時15分 ・まもろうよ こころ(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/sns/) さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。 ・こころの悩みSOS(https://mainichi.jp/shakai/sos/) 悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。