線引きは? 時期は? 重鎮の処遇は? 「処分」に悩む岸田首相(2024年3月11日『毎日新聞』)

自民党派閥裏金事件に関連した処分を巡る岸田首相の悩みポイント
自民党派閥裏金事件に関連した処分を巡る岸田首相の悩みポイント

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相(自民総裁)が関係議員らの党内処分で頭を悩ませている。政治資金収支報告書への不記載があり、処分対象になりそうなのは現職だけでも82人。厳しい処分ほど世論の信頼回復を図れそうだが、処分される側の反発は必至で、秋の総裁選再選戦略の支障となりかねない。首相に代わって党内調整を担うはずの茂木敏充幹事長の動きも鈍く、悩みは尽きない。

 首相を悩ませているのが、処分の基準だ。党の処分には重い順に①除名②離党勧告③党員資格停止④選挙非公認⑤政府・国会の役職辞任勧告⑥党役職停止⑦戒告⑧党則順守勧告――の8段階ある。処分の対象となり得るのは、派閥からの還流(キックバック)分などを収支報告書に記載せず党内聞き取り調査を受けた安倍派、二階派の現職82人など。それぞれ事情も派内での発言力も異なる。

 最も分かりやすい基準とみられているのが、不記載額で処分の重みを変える方法だ。党内調査で最も金額が多かった現職は二階俊博元幹事長(二階派)の3526万円で、2番目は三ツ林裕巳元副内閣相(安倍派)の2954万円、3番目は萩生田光一政調会長(安倍派)の2728万円。一方、最少は山崎正昭参院議長(安倍派)の4万円で、大きな差がある。自民関係者は「客観的に4桁万円はこの処分、3桁万円はこの処分、とするのが分かりやすい」と語る。