岸田首相、在任日数が田中角栄氏に並ぶ 「岸信介越え」は総裁選勝利が絶対条件(2024年3月7日『産経新聞』)

 
首相官邸に入る岸田文雄首相=7日午前(春名中撮影)

岸田文雄首相は7日、就任から886日を迎え、在職日数が田中角栄元首相と並んだ。戦後の首相の通算在職日数では35人中9位となる。ただ自らの金脈問題で内閣総辞職に追い込まれた角栄政権と同様に、岸田政権にも「政治とカネ」問題が直撃し、内閣支持率は低迷が続く。在任記録がどこまで延びるかは見通せない。

首相は6日夜、在職日数に関して官邸で記者団の取材に応じた。「毎日積み重ねなので、在任期間の長さについては特段申し上げることはない。積み重ねを大事に、これからも一つ一つ課題に臨んでいきたい」と語った。

首相は、角栄氏がすでに政界を引退した後の平成5年の衆院選で初当選。角栄氏は同年末に死去しており、直接の接点はなさそうだ。ただ著書の「岸田ビジョン」では、かつて角栄氏が築いた強固な後援組織「越山会」をまねしようとした経験を紹介。角栄流のピラミッド型組織は都市部でうまく機能しなかったため、多数の小グループからなる「多様性を重んじる分権型の後援会」に行き着いたと振り返っている。

ハプニングがない限り、首相は4月22日に橋本龍太郎氏(932日)に並ぶ。ただ、その先は9月末に任期満了を迎える自民党総裁選での再選が絶対条件だ。計算上、岸信介氏(1241日)に並ぶのは来年2月末。首相が率いた自民党宏池会(岸田派)を創設した池田勇人氏(1575日)に並ぶのは再来年1月末となる。

ちなみに、在任886日に達した時点の年齢を比較すると、角栄氏が56歳で最も若く、現在66歳の首相は佐藤栄作中曽根康弘両氏と並んで2番目に高齢だ。「最年長」は吉田茂氏の71歳で、他の5氏は60~63歳で886日を迎えている。

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