「特権意識を是正し、政治家も責任を果たす」 政倫審での首相発言(2024年2月29日『毎日新聞』)

衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相(左奥)=国会内で2024年2月29日午後2時10分(代表撮影)拡大
衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相(左奥)=国会内で2024年2月29日午後2時10分(代表撮影)

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会が29日午後、開かれた。岸田文雄首相(自民党総裁)が現職首相として初めて出席し、「国民の皆様方に大きな疑念を招き、政治不信を引き起こしていることに対して、総裁として心からおわび申し上げる」と陳謝した。

 政倫審における岸田首相の発言要旨は次の通り。

趣旨弁明

 自民党派閥の政治資金問題を巡り大きな疑念を招き、政治不信を引き起こしていることに対し党総裁として心からおわびする。

衆院政治倫理審査会で弁明のため、挙手する岸田首相=国会内で2024年2月29日午後2時8分(代表撮影)拡大
衆院政治倫理審査会で弁明のため、挙手する岸田首相=国会内で2024年2月29日午後2時8分(代表撮影)

 なぜ、何かがおかしいと思いながら、長年続いてきた不記載の慣行を是正できなかったのか。なぜ政治資金の収支を明確にする当然のルールすら守れなかったのか。そしてなぜ問題が生じた際に政治家自身の責任が十分に果たされないのか。この原因に、政治は特別なものだという特権意識があったとするなら、特権意識を是正し、政治家も当然の責任を果たす改革を進めていかなければならない。

 政治への信頼を回復するため、私自身、先頭に立って前例や慣習にとらわれることなく、改めるべきは改めていく。自民党は自らを変えなければならない。私自身、自民党改革、政治改革の先頭に立つ。

質疑

 鷲尾英一郎氏(自民党) 政治家が秘書に責任を押しつけるようでは信頼は成り立たない。

 首相 一定の悪質な場面では、会計責任者のみならず政治家本人も責任を負う法改正を行うことが重要だ。自民もこの問題の重要性をしっかり認識し、法改正を今国会のうちに実現できるよう作業を進める。

 野田佳彦氏(立憲民主党) 裏金にかかわった議員の処分を党として考える時期ではないか。

 首相 法律上の責任以外にも説明責任、政治責任、道義的な責任はあると思う。説明責任の果たし方や事実の状況も踏まえながら、党として処分をはじめとする政治責任を判断する。

 野田氏 首相は2022年に7回も政治資金パーティーを開いた。先般の予算委員会で「尋常でない」と申し上げたら「勉強会だ」と開き直った。ごまかしだ。

衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相=国会で2024年2月29日午後2時9分(代表撮影)拡大
衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相=国会で2024年2月29日午後2時9分(代表撮影)

 首相 首相就任前から続けている勉強会だ。大臣規範にある、国民の疑念を招くものには当たらない。

 野田氏 首相としての内なる規範はないのか。

 首相 首相として、内閣としての務めに全力で取り組み、責任を果たしてきた。政治資金パーティー等が首相の職務に影響を与えたことはない。指摘はしっかり受け止めた上で今後について適切に判断する。

 野田氏 昨年12月に東京都内のホテルで予定していた「岸田文雄と国政を語る会」を延期した。中止ではない。まだやろうとしているのか。

 首相 指摘も踏まえて適切に判断する。

衆院政治倫理審査会に臨む岸田文雄首相=国会内で2024年2月29日午後1時53分、竹内幹撮影拡大
衆院政治倫理審査会に臨む岸田文雄首相=国会内で2024年2月29日午後1時53分、竹内幹撮影

 野田氏 やらないと明言できないのか。

 首相 首相としてパーティーを開催することは今は考えていない。

 野田氏 在任中はやらないと言ってください。

 首相 結果的に在任中はやることはないと考えている。

 藤田文武氏(日本維新の会) 内向きの権力闘争、見苦しい泥仕合、学級崩壊のような状況が続く自民が日本を動かしているのは悲劇だ。

 首相 自民のガバナンスが問題だということには当たらない。

衆院政治倫理審査会に臨む岸田文雄首相=国会内で2024年2月29日午後1時53分、竹内幹撮影拡大
衆院政治倫理審査会に臨む岸田文雄首相=国会内で2024年2月29日午後1時53分、竹内幹撮影

 輿水恵一氏(公明党) 不透明な政治資金を一掃するため第三者機関による監視などを公明は提案している。

 首相 問題意識は(自民と)重なる。

 穀田恵二氏(共産党) 裏金のシステムは誰が何のためにいつから作ったのか。(安倍派元会長の)森喜朗元首相に確かめたか。

 首相 (自民による)聞き取り調査の中で、森元首相が直接かかわったという発言があったとの報告は受けていない。

 穀田氏 首相の答弁は(自民調査の)報告書の内容をなぞっているだけだ。

 首相 捜査権限もない中での聞き取り調査。全て実態が把握できたものではないと思うが、当初の再発防止策を考える上で聞き取り調査は意味があった。

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