今年も値上げラッシュが止まらない。実質賃金3年連続の悪夢が現実味を帯びてきた。
帝国データバンク(TDB)が29日、「食品主要195社」価格改定動向調査の結果を発表。それによると、3月の食品値上げは728品目。前年同月比79.2%減と上げ幅は縮小したものの、気は抜けない。1~6月の累計で5911品目が価格改定する見通し。そのうち、レトルト食品や冷凍食品などの加工食品(3295品目)が最多で、4月に6カ月ぶりの3000品目を超える大規模な値上げラッシュを迎えるという。ハムやソーセージは昨秋に価格改定したばかり。
気がかりなのが、年間の平均値上げ率の上昇だ。
今年は19%に達し、値上げが本格化した2022年の14%、3万2396品目が価格改定した23年の15%を上回っている。
23年中のコスト増加分のしわ寄せに加え、人件費や物流費のアップ、円安長期化が主な要因だという。
円安を招くアベノミクスの異次元緩和は放置されたままだし、トラックドライバーの労働時間が上限規制される「2024年問題」が4月から本格化。アベ路線を踏襲する岸田政権の旗振りで大企業を中心に賃上げの動きが広がるが、日本列島の隅々までの波及は期待できない。価格交渉力のある大手の商品だけドンドコ値上げされる可能性がある。
TDB情報統括本部の飯島大介氏はこう言う。
「外圧によるコストプッシュ型の値上げが依然として続いています。賃上げや原材料高などの国内由来ではない点が、家計を苦しめる理由です。海外に流れるばかりで、国内には何も残らない状態。昨年と比べて価格改定品目は少ないので値上げラッシュは一服に近づいていると言えなくはないですが、収束の見通しは立たない。年間2000~3000品目の値上げで推移していくとみています」
カカオ豆の価格高騰でチョコレート菓子の値上げも目立つ。ネスレ日本のキットカットは内容量を12枚から13枚に増やすが、希望小売価格も540円から685円に引き上げ。1枚当たり45円だったのが52.69円となり、気軽にシェアしづらくなってきた。貧乏人は米でも食ってろ、ってか。