自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)の公開の可否を巡り、与野党は26日の協議で合意に至らなかった。審査の全面公開を求める野党側に対し、自民は報道関係者への非公開を譲らなかった。与野党は28、29両日に審査会を開くことで大筋合意しており、27日も協議する。
政治倫理審査会 ロッキード事件を契機として1985年に衆参両院に設置された。本人の申し出か、委員の3分の1以上の申し立てと過半数の賛成で開かれる。出席に強制力はなく、2009年に当時の鳩山由紀夫民主党代表の政治資金虚偽記載問題で開催を議決したが、鳩山氏は出席しなかった。証人喚問と異なり、発言は偽証罪に問われない。
◆野党側「国民に直接説明を」
自民は、政倫審での審査を申し出た西村康稔前経済産業相ら5人の意向として、政倫審に所属しない議員や報道関係者の傍聴を認めない「完全非公開」での審査を主張。野党側は「国民に直接説明する審査会であるべきだ」と反発した。自民はその後、議員の傍聴のみを認める案を示したが、野党側は応じなかった。
政倫審は、公開するか否かの判断が出席者の意思に委ねられるほか、会議録も原則非公開で事実上閲覧できない。議員が説明責任を果たすべき場として、制度面の限界が浮き彫りになっている。
◆会議録閲覧「聞いたことがない」
政倫審の規程では、会議録が原則非公開とされ、議員以外が閲覧する場合は政倫審での決議が必要になる。衆院事務局によると、一般閲覧の例は「聞いたことがない」という。また「傍聴を許さない」ことを原則としていて、過去9回の開催で完全非公開は1回、報道に公開しなかったケースも3回あった。
参院では、初の政倫審を27日に開くことを決めた。野党側が安倍派議員など32人の審査を求める理由を説明する。(井上峻輔)