トルコでの冬季デフリンピックに向け、金メダル射程圏内の女子フットサル主将「素早さで勝負」(2024年2月27日『読売新聞』)

 

聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」冬季大会が3月2~12日、トルコ・エルズルムで開かれる。日本はスタッフ含め約70人の選手団がアルペンスキースノーボードカーリング、フットサルの4競技に臨む。このうち金メダルを射程にとらえているのが、今大会から正式種目となった女子フットサル。主将の岩渕亜依(30)(ケイアイスター不動産)と山本 典城よしき 監督(48)が意気込みを語った。(荒井秀一)

岩渕亜依主将(左)と山本典城監督=田中秀敏撮影
岩渕亜依主将(左)と山本典城監督=田中秀敏撮影

 日本は昨年11月にブラジルで行われた世界選手権で初優勝した。決勝では開催国の強豪をPK戦の末に破って快挙を達成。岩渕は「勝った瞬間、寄せ書きの入った日の丸が目に入って訳も分からず号泣した」と振り返る。2013年に就任し、指揮を執って10年で栄冠をつかんだ山本監督は最優秀監督賞に選ばれた。

 千葉県出身で生まれつき耳の不自由な岩渕のポジションは、サッカーのサイドハーフにあたる「アラ」。1メートル50と小柄だが、抜群のスピードを生かしたプレーが持ち味だ。「自分は素早さで勝負している。日本の良さも走るところ。デフリンピックではその強みを最初から出していきたい」と気合十分。山本監督は「2025年の(夏季)東京デフリンピックにつながる大会だと思う。自分たちがしっかりと結果を出すことで(大会の存在を)知ってもらえる」と金メダルで盛り上げ、東京へとバトンをつなげたい考えだ。

 日本はブラジル、アイルランド、スペイン、イタリアと同組。上位2チームが準決勝に進出する。フットサルは開幕前日の1日から始まり、日本は初戦でブラジルと再び激突する。