いじめ訴えノートに担任「花マル」 女児と両親、奈良市を提訴(2024年2月27日『毎日新聞』)

提訴のため奈良地裁に入る女児側の代理人の三橋和史弁護士(左)ら=奈良市で2024年2月27日午後2時6分、川畑岳志撮影拡大
提訴のため奈良地裁に入る女児側の代理人の三橋和史弁護士(左)ら=奈良市で2024年2月27日午後2時6分、川畑岳志撮影

 奈良市立小学校で5年生の女子児童(11)がいじめを受けていた問題で、女児と女児の両親が27日、学校や市教委の対応で精神的苦痛を受けたとして、市に約250万円の損害賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。

 訴状や市教委の調査報告書によると、女児は3~4年生の頃に同級生から背中を鉛筆で突かれるなど、計12件のいじめを受けたと認められた。4年時には「わたしは死ねばいいのに」などと女児が書いたノートに、当時の担任教諭が「花マル」などを付けて返却していた。

 女児は3年生だった2022年2月、同級生に足を蹴られて負傷した。このけがに気付いた両親は、学校や市教委にいじめの有無を調べるよう要請。しかし学校が本格的な調査を始めたのは9カ月後の同年11月だった。女児はこの間、適応障害と診断された。

 女児側は「学校や市教委が速やかな対応をとらなかったため、いじめ行為の継続を許すことになった」と指摘。適応障害を発症したのも、学校などがいじめへの対応を長引かせ、女児を精神的に追い込んだからだと主張している。

 女児の両親は代理人弁護士を通じ、「いじめの存在が長期に認められなかったことなどにより、つらい思いをした。娘は今も足がすくんで登校できない日がある。学校や市教育委員会は組織体質を抜本的に改善してほしい」とコメントを出した。

 市は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【川畑岳志】