再評価の時(2024年2月24日『琉球新報』-「金口木舌」)

 「#確定申告ボイコット」。2023年分所得税の確定申告の受け付けが始まり、こんな検索キーワードがSNSで拡散した。国政与党たる自民党派閥による裏金問題が背景にあるのは言わずもがな

▼国民は1円単位で正確に納税しなければならないのに、裏金を作った自民議員のほとんどは発覚後も収支報告書の修正でお茶を濁して済まされる。ボイコットしたくなる気持ちは分かる
▼裏金問題を巡っては週明けにも政治倫理審査会が開かれる。派閥の幹部らが出席するが、納得できる説明はあるだろうか。政治不信が拭いきれぬ今こそ、政治参加の形を見直したい
住民投票や請願、署名活動、デモへの参加…。本来、私たちが政治に参加する手段は多様だ。だが、それらは必ずしも重視されていない。政治の場で軽んじられる時さえある
▼名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票が最たるものだ。投票者総数の約72%、約43万人の圧倒的多数の反対の民意は一顧だにされていない。県民投票からきょうで5年。その価値を再評価すべき時だ。