「裏金議員」はバッジをつけたままで良いのか 信頼回復には解散しかない 伊藤達美(2024年2月25日『週刊フジ』)

 
国会が「国民の信」を得て再出発する日はいつになるのか=衆院本会議場(鴨志田拓海撮影)

14日の衆院予算委員会で、日本維新の会の岩谷良平議員と岸田文雄首相との間で次のようなやり取りが行われた。

岩谷議員「裏金を認めた議員がいまだにバッジをつけて仕事をしている。そのことを有権者がどう思っているか想像すべきだ。国内外で非常に重要な局面を迎えているなか、自民党の『政治とカネ』の問題で政治が停滞し、行政が停滞し、政策が前に進まない。局面を打開し、政策を前に進めるために衆院を解散して国民の信を問うべきだ。そういう選択肢を検討するつもりはあるか」

岸田首相「今、国の内外において、震災対策であったり、厳しい国際情勢であったり、デフレ脱却であったり、さまざまな課題が山積している。政治の信頼回復とともに目の前の課題に専念する。これがわれわれに与えられた課題だと考えている。その先については考えていない」

岩谷議員の言う通りだと思う。筆者は1月25日の当欄で「出直し解散」を提唱したが、全く同じ問題意識だ。

予算委の審議を見ても、議論すべき政策課題は山ほどあるにもかかわらず、来る日も来る日も「政治とカネ」の問題ばかりが報道されている。まさに岩谷議員が指摘する「政治が停滞し、行政が停滞し、政策が前に進まない」状態と言っていいのではないか。

これに対して、岸田首相は従来通りの「紋切り型」答弁に終始した。確かに、この時点で解散を示唆するような発言ができないのは理解できる。もし、そのような発言をすれば、来年度予算の審議が進まなくなってしまうおそれがあるからだ。

そうだとしても、解散先送りは限界に達しつつあるのではないか。現在のような状態では、新たな政策機軸や大きな政治決断をすることはできない。むしろ、新たなことをやろうとすれば、かえって国民の不信を増大させる可能性がある。

岸田首相が、「清水の舞台から飛び降りるような」気持ちで下したであろう派閥解消のイニシアチブも「選挙目当て」「延命工作」と批判されるのはそのためだ。

与党内には「国民の信を問うのは信頼回復をした後」との意見もあるが、疑惑を持たれた議員によって作られた改革が、果たして国民の信頼を得られるだろうか。やはり、選挙で国民の信を得られた議員だけで構成された国会で成立したものでなければ、どんな改革案も説得力を持たないだろう。

もちろん、当選したからと言って、「禊(みそぎ)完了」というわけではないが、まずは、選挙の洗礼を受けるところから始めなければ、次の議論には進めない。

予算が成立次第、早急に解散して国民の声を聴く。政治の信頼回復の第一歩は、そこからではないか。(政治評論家)

伊藤達美「ニュース裏表」(zakzak