「政策活動費」見直しに消極的な自民 「外国勢力の政治工作」を理由にするけど…パー券は外国人も買える(2024年2月17日『東京新聞』)

自民党派閥の裏金事件をきっかけに、政党から議員個人に支給され使途公開の義務がない「政策活動費」の見直しが焦点となっているが、自民党は後ろ向きだ。岸田文雄首相(党総裁)は、使途公開により外国勢力に党の方針が明らかになることを懸念する。ただ、政治資金パーティー券は外国人や外国法人も購入できるため、「外国」を口実にして見直しに慎重な立場を説明することには、党内から疑問の声も上がる。

◆使い道を明らかにしたら「ロビイスト」が暗躍?

 「政治活動の自由や個人のプライバシー、外部の政治勢力や外国勢力に政治の方向性が確認される点を勘案して、現状の取り扱いになっている」。首相は14日の衆院予算委員会で、政策活動費の改革を求める野党議員の質問にこう答えた。
衆院予算委で答弁する岸田首相。右奥は盛山文科相=14日、国会で

衆院予算委で答弁する岸田首相。右奥は盛山文科相=14日、国会で

 外国勢力への懸念に関し、首相周辺は「使途を明らかにすれば(政党の方針がわかり)ロビイストが特定の議員に対し、集中的に政治工作を行うなどのリスクがある」と説明するが、具体的なイメージはつきにくい。
 野党や公明党は、政策活動費の廃止や使途公開の義務化を主張する。これに対し、首相は「各党共通のルールについて議論に向き合う」と述べるだけで、党としての明確な方向性は示していない。
 外国勢力からの影響を排除するルールとして、政治資金規正法は外国人や外国法人からの寄付を禁止する。一方、政治家が開くパーティーは、外国人のパーティー券購入に制限がない。形式上は催し物への対価で、寄付とは性質が異なるためだ。総務省は「各党が協議した結果、現行ルールになっている」と説明する。
 そもそも多くの自民議員が選挙支援などで接点を持っていた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は韓国発祥だ。ある中堅は「首相の説明は十分とは言えない。外国勢力と言うならパー券購入に規制がないのも大きな問題ではないか」と話す。(近藤統義)