「不適切にもほどがある!」TBS系金曜午後10時 「昭和を知っている方たちは懐かしいでしょうし、平成・令和生まれの方たちにとっては新しい。どの世代も楽しめる作品になっていると思います」
ドラマは「昭和と令和のギャップがすごい」などの反響を呼んでいる。中学校の体育教師である小川市郎(阿部サダヲ)が、ひょんなことから昭和61年から令和6年にタイムスリップし、コンプライアンス(法令順守)の意識が低い「昭和のおじさん」であるが故の不適切な言動を繰り返しながら、令和の人々と交流する姿を描く。
体罰、場所を問わない喫煙、セクハラ、女性蔑視発言…。昭和の感覚とは異なり、現代では不適切極まりないシーンが多々登場し、「昭和には過激な深夜番組もあって、嫌な人もいたと思うけれど、娯楽として求められていて、人々は開放的で生き生きとしていたんじゃないかな」と想像する。
「昭和にタイムスリップできるとしたら何をしたいか」の問いに、「ゾンビ映画が好きだから、(ゾンビ映画の始祖である)故ジョージ・A・ロメロ監督の作品を公開時に映画館で見たい。興奮すると思う」と笑う。
演じているのは、市郎の娘の純子(河合優実)が思いを寄せるムッチ先輩こと秋津睦実。ある男性アイドルに心酔し、彼の容姿や言動をまねている不良だ。
「アイドル好きと不良のミックス。バランスが難しい。格好つけているし、『純子、未来を、俺にくれないか?』とか、恥ずかしくなるような言葉を発するけれど、そこが彼の愛らしい部分です」 また、自身は令和では市郎の言動に感化される会社員の秋津真彦として登場。第1話で、真彦は会社で後輩女性に「期待しているから頑張ってね」と声をかけ、それが精神的な負担になったとして、女性からはパワハラだと主張される。
居酒屋で上司から注意され、居合わせた市郎は「期待して期待に応えてさ、叱られて励まされて頑張って、そうやってかかわり合って強くなるのが人間じゃねえの?」と声を荒らげる。
「なるほどってうなずける部分もある」と共鳴し、「今、働き方改革、コンプライアンスなど制限が多い中、それって全てが正しいのかなという疑問に市郎さんが切り込んでいく。その様は爽快。今の世の中を見つめ直すきっかけになるドラマだと思う」と力を込める。
今年で俳優デビュー10年。変幻自在な演技力に定評がある。心がけていることは「現場を大切に」だという。
「相手の芝居でこっちも変わる。現場で生まれるもの、感じるものをベースに芝居することを念頭に置いています」
<いそむら・はやと>平成4年、静岡県出身。26年、デビュー。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」、「今日から俺は!!」(日本テレビ)、「恋する母たち」(TBSテレビ)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」などに出演。