遊川和彦、岡田惠和、野島伸司…60代脚本家で「打倒TBS日曜劇場」のハズが大苦戦!「テレ朝・日曜ドラマ」が直面する「打ち切り危機」(2024年2月19日)

福士蒼汰らアラサーの人気者が集結も

 なぜレジェンドが若者を描くのか

 つまり恋愛群像劇は「昭和の終盤から平成の序盤に流行ったもので、平成の中盤から時代に合いづらくなりはじめ、令和の今はなお厳しくなった」というジャンルなのかもしれない。しかも「令和を生きるアラサー7人の恋愛ドラマを現在68歳の脚本家・遊川和彦が手がける」ところがミスマッチに見えてしまう。

 もちろんこれは遊川だけの問題ではなく、企画・プロデュースを手掛ける清水一幸によるところも大きい。その清水は昨春の日曜22時台ドラマ枠新設から4作すべてを手がけてきたが、そのプロデュース戦略に業界内外から疑問の目が向けられはじめている。

 ABC制作・テレビ朝日系日曜22時のドラマ枠はこれまで『日曜の夜ぐらいは…』『何曜日に生まれたの』『たとえあなたを忘れても』『アイのない恋人たち』が放送されてきた。いずれも一部の視聴者から上々の評判を得られた一方で、数字面ではふるわず、多くの人々の支持を得られたとは言いづらい。

 とりわけ業界内で疑問視されはじめているのは、4作すべてベテラン脚本家のオリジナルであること。順にあげていくと、岡田惠和(64歳)、野島伸司(60歳)、浅野妙子(62歳)、遊川和彦(68歳)で、4人は多くのヒット作を持つドラマ業界のレジェンドであり、その実力に疑いはない。

 しかし、一方でいずれも若年層の生き方や恋を描いた物語だけに、「脚本家の年齢や感覚とフィットしているのか?」という疑問の声があがっているのだ。

 たとえば、現在61歳の脚本家・福田靖は今冬、父と娘の関係性を描いた笑って泣けるホームドラマ『春になったら』(カンテレ・フジテレビ系)を手がけ、おおむね称賛を集めている。もし遊川がこのようなジャンルの作品を描いていたら、もう少し支持を集められていたように思えてならない。「レジェンド脚本家たちに自由を与えてオリジナルで勝負する」という戦略は素晴らしいが、「なぜ若年層の生き方や恋を描く物語ばかり続けているのか?」という疑問が浮かんでしまう。

 さらに岡田、野島、浅野の3人がそれぞれ支持された理由に注目すると、プロデュース戦略の課題が見えてくる。

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日曜劇場との“かぶり”を承知で開始

木村 隆志(コラムニスト/コンサルタント