衆議院長崎3区補選、立憲民主党が「政治とカネ」で攻勢…自民党は人選難航の可能性(2024年2月24日『読売新聞』)

衆院長崎3区補欠選挙(4月28日投開票)に向け、与野党各党が取り組みを加速させている。「政治とカネ」が最大の争点となる見通しで、候補を擁立する立憲民主党は党幹部を現地に送り込んでいるほか、他の野党と共闘も進めつつある。日本維新の会が独自候補を立て、自民も候補の人選を進めており、勝敗は次期衆院選の行方に影響を及ぼしそうだ。

自民の小渕選対委員長、4月の衆院3補選は「大変厳しい」「野党転落時と同じくらいの批判」

自民の小渕選対委員長、4月の衆院3補選は「大変厳しい」「野党転落時と同じくらいの批判」

 

 「自民の金権体質はおかしいと思いませんか」

 立民の泉代表は23日、長崎県五島市のスーパー前で集まった聴衆らにこう呼びかけた。

 補選は、政治資金規正法違反事件で略式起訴された元自民の谷川弥一氏の辞職に伴うものだ。五島市は谷川氏の地元で、自民支持層を切り崩す狙いがある。

立民の泉代表は23日、長崎県五島市のスーパー前で集まった聴衆らにこう呼びかけた。

 補選は、政治資金規正法違反事件で略式起訴された元自民の谷川弥一氏の辞職に伴うものだ。五島市は谷川氏の地元で、自民支持層を切り崩す狙いがある。

 立民は2021年の前回衆院選で谷川氏に約2000票差で敗れた山田勝彦衆院議員(比例九州)を擁立する。

 衆院小選挙区の「10増10減」で、次期衆院選から長崎の小選挙区は4から3に減り、現在の3区は新2区と新3区に分割される。山田氏は新2区の支部長として地元活動を始めていたが、「裏金を許さない県民、全国民の戦いだ」として、現在の区割りで行われる3区補選への出馬を決めた。

 4月28日投開票の衆院補選は、長崎3区、東京15区、島根1区の3か所で実施される。だが、規正法違反事件に起因するのは長崎3区だけで、立民は今後も現地に党幹部を投入するなどして、自民批判を展開する方針だ。

 山田氏を巡っては、社民党本部が推薦するほか、共産党も県委員会が支援を決めた。立民は国民民主党との連携も模索している。立民内には「共産、社民との連携だけで終われば左寄りとみられる」と不安視する声がある。

 これに対し、維新は学習塾経営の新人、井上翔一朗氏の公認を決めた。藤田幹事長は「政治改革を本気でやるということを国民に理解してもらう選挙だ」と位置づけている。野党第1党を目標に掲げており、党幹部は「『立憲共産党』には負けられない」と語る。

 自民には厳しい風当たりが予想されるが、茂木幹事長はすでに長崎県連に候補擁立の方針を伝えており、今月末をめどに人選を終えたい意向だ。茂木氏と小渕優子選挙対策委員長が26日にも県連幹部と面会し、対応を協議する。

 自民は新1~3区の候補がすでに決まっている。補選に出馬した候補が勝利しても、次の衆院選で県内小選挙区からの出馬は難しいとの事情があるため、人選が難航する可能性もある。また、保守分裂となった22年知事選のしこりは依然残るとされ、「候補を擁立できたとしても、地元が一枚岩になれるかわからない」(党幹部)との見方が出ている。

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