旧統一教会審問(2024年2月23日)

統一教会審問 厳正に宗教法人の適否判断を(2024年2月23日『読売新聞』-「社説」)

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡っては、高額寄付などによる深刻な被害が社会問題となってきた。宗教法人にふさわしいのか、厳正に判断してほしい。


 旧統一教会への解散命令請求について、東京地裁が国側と教団側の双方から意見を聞く審問を開いた。教団側は、徹底的に争う構えを示したという。

 宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合、宗教法人に解散を命じることができる、と定めている。

 国側は「教団の悪質性、組織性、継続性は明白だ」と主張している。教団の不法行為を認定した民事判決や、被害者から聴取した陳述書から、教団が危険な団体だと立証できるかがカギを握ろう。

 法律に基づき、審問は非公開で行われた。国側はどのような意見を述べたか明らかにしていないが、「信教の自由」に関わる重要な裁判だ。 進しん 捗ちょく 状況や、提出した証拠内容を公表すべきだろう。

 一方、国会では、2021年衆院選で教団系の団体から支援を受けた疑いがあるとして、野党が盛山文部科学相を追及している。

 盛山氏は、団体主催の国政報告会に出席して推薦状を受け取り、政策協定にあたる推薦確認書も交わしていたとされる。

 盛山氏の答弁はお粗末だ。推薦確認書について、「覚えていない」「サインしたかもしれない」「記憶にない」と発言を二転三転させており、うそをついているかのような印象を与えている。

 ただ、盛山氏は旧統一教会への解散命令を請求した本人だ。また、政府は近く教団に対し、不動産を処分する場合の事前届け出を義務づける方針だ。被害者救済の原資となる資産を、教団が海外などに移しにくくする狙いがある。

 教団との接点の有無は別として、盛山氏が不当に政策を曲げているような疑いはみえない。

 自民党では、解散命令請求に対する意趣返しで教団側がメディアに情報を流している、との見方がある。盛山氏と教団幹部の写真や、関係者とハグしたといった証言など、教団内からとみられる情報が次々に報道されているためだ。

 昨年は、岸田首相が政調会長時代に元米下院議長と面会した際、教団関係者が同席していたことを示す写真が流出した。教団側が撮影した可能性が高いとされる。

 もし情報操作に振り回され、政局が混乱するようなことになれば情報提供者の思うツボだろう。