裏金を「還付金」と言い張り続ける自民党 脱税かもしれないのに…これは正しい日本語なのか(2024年2月22日『東京新聞』)

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、自民が派閥から所属議員に渡されたお金を「還付金」だと言い張っている。国税通則法などに登場する用語で、本来は国民が誤って所得税を納めすぎた場合などに返還される正当な金銭を指す。自民は記者会見などで多用しているが、政府与党から使い方をただす声は上がっていない。

◆「還付金」が原因で立件された国会議員たち

 自民が15日に公表した所属議員への聞き取り調査の報告書では、ノルマを超えてパーティー券を売った議員に渡されたお金を「還付金」、議員が派閥側に渡さずに保管したパーティー券収入を「留保金」と名付け、正当性を印象づけた。裏金事件の主な舞台となった安倍派幹部らも還付金という言葉をたびたび使い、党内でも定着している。
21日、官邸に入る岸田首相

21日、官邸に入る岸田首相

 一方、この「還付金」が原因で、党所属議員らが政治資金規正法違反の罪で立件されたほか、原則非課税の政治資金とされる留保金も、本来は所得税が課される雑所得に当たる可能性があり、野党から脱税の疑いが指摘されている。
 22日の衆院予算委員会では、立憲民主党大西健介氏が自民の報告書を紹介しながら「還付金」について政府の見解をただした。鈴木俊一財務相は「報告書の言葉遣いについてコメントする立場にない」と答弁。大西氏は「脱税が問題になっている時に還付金という言葉を使うことは不適切。『正確に言葉を使ってください』というのが財務相の立場ではないか」と苦言を呈した。(我那覇圭)