黒田清子さんを「ねえね」呼びで慕ってきた佳子さま、内親王からの学びを期待される今後(2024年2月22日)

皇族それぞれの「お印」

虫が大好きな高貴な女性

《朝ごとに新しいクチナシの葉を入れておやりになりながら、あの鮮やかな緑色のグロテスクな幼虫を手のひらに這わせて、『可愛い』となでておいでになるご様子は、昔物語の『堤中納言』の『虫めづる姫君』、そのままでいらっしゃる》と、書かれている。『堤中納言物語』は平安時代後期以降にできた短編物語集で、その中の一編に虫が大好きな高貴な女性が登場するのだ。

能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、大切な方を亡くされた方々、被災された方々に心からお見舞い申し上げます(略)。困難な中におられる方々のことを思うと胸が痛みます。災害への対応に力を尽くされている方々に深く敬意を表しますとともに、被災した地域で救援と復旧が進んでいくことを心から願っております」

 今年1月22日、東京都内で開催された「聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」に出席した秋篠宮家の次女、佳子さまは、手話を交えて甚大な被害に見舞われた大地震の被災者たちに寄り添う気持ちをこのように述べた。式典で、佳子さまが舞台に姿を見せると会場から大きな拍手が湧き起こった。

 この日の佳子さまは、ロイヤルブルーのタートルネックのワンピース姿で、落ち着いた中にも品格を漂わせていた。聴覚障害者教育福祉協会会長、山東昭子参議院議員の挨拶が終わると、佳子さまは自席から立ち上がり、舞台中央に置かれた演台まで進み、客席に向かって深々と会釈をした後、手話を使いながら7分ほどおことばを述べた。途中、佳子さまは「読み取り通訳をお願いします」と述べ、目の前のマイクをずらして手話に専念した。佳子さまの手話を見ながら通訳の人が日本語で発表した。

佳子さまが締めくくった言葉

「聴こえないこと、聴こえにくいことに対する社会全体の理解がさらに深まり、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そしてこれらが当たり前になることを願うとともに、この催しが皆様にとって大切な思い出になることを願い、私の挨拶といたします」

 最後に佳子さまは、このように締めくくった。

 2005(平成17)年11月15日、秋篠宮さまの妹で、佳子さまの叔母にあたる紀宮清子内親王(当時)が、黒田慶樹さんと結婚した。佳子さまは小さいころ、「ねえね」と呼んで清子さんを慕っていた。翌'06(平成18)年11月、秋篠宮さまの誕生日会見に同席した紀子さまは清子さんを近くで見て育った佳子さまについて次のように語っている。当時、佳子さまは学習院初等科6年生だった。

「これから先のことについては、娘たちがさまざまな経験をする中で次第に社会から何を期待されているかを感じ、求められているものに応えることができるようになってくれればと願っています。娘たちは、内親王としての紀宮さまが結婚されるまでのお姿を近くで見ておりました。紀宮さまが一つひとつのお仕事を大切に丁寧にされていたことを学びながら、娘たちが少しずつ、担う役割に対して理解を深めてくれればと思っております」

 歴代の内親王はその時代、その時代で国民に深く寄り添ってきた。佳子さまもまた、内親王時代の黒田清子さんに学びながら、「令和」にふさわしい新しいタイプの内親王として活躍されることだろう。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など

 

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