海軍オスプレイ不適 もはや飛行はあり得ぬ(2024年2月22日『沖縄タイムス』-「社説」)

 米軍オスプレイの構造的な問題を公式に認めた報告書だ。オスプレイについてはこれまでも欠陥が見つかっており、もはや修繕すればいいというレベルではない。

 米国防総省の運用試験・評価局が海軍に対し、同軍仕様のCMV22オスプレイの防氷装置などに多数の不具合があるとして「運用に適していない」と繰り返し勧告していたことが明らかになった。

 任務中止などに至った不具合の44%が防氷装置関連によるものであることや、整備時間が長過ぎることなどを主な理由としている。

 高度が上がると気温が下がり氷が付着するため航空機には氷を除去したり、防いだりする装置が備えられている。

 防氷装置が機能しなければ最悪の場合、墜落する危険性があるという。装置の不具合は大きな事故につながりかねない。

 評価局は2022年、海軍に対し修正を促す報告書を出した。しかし改善が見られなかったため、今年1月に米連邦議会に提出した年次報告書で改めて勧告した。

 米軍機の評価で「運用に適さない」との判断はまれだ。2度の勧告は問題の大きさを示している。本来なら海軍はすぐに運用を停止すべきだった。

 CMV22は勧告後も度々県内に飛来し、現在も複数機が嘉手納基地にとどまっている。日本政府は安全性の確認を急ぐべきだ。

 オスプレイ海兵隊や空軍、陸上自衛隊でも運用しており構造はほぼ同じだ。防氷装置の不具合は全ての機体に共通するとの指摘もあり看過できない。

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 昨年11月に起きた鹿児島県・屋久島沖の米空軍CV22オスプレイ墜落事故については、米軍がギアボックスの不具合の可能性を検証していると米大手メディアが報じた。

 空軍は20日、事故の際に発生した機器の故障を特定したと発表したものの詳細は明らかにしていない。

 オスプレイは左右両側にエンジンとプロペラがあり、ギアボックスが付いている。中から金属片が見つかったケースが22年7月以降で少なくとも7件あったという。

 昨年6月にはハワイで訓練していた海兵隊のMV22が、ギアボックスの不具合で緊急着陸した。陸自のV22でもギアボックスの警告灯が点灯して航空自衛隊静浜基地静岡県)に予防着陸する事態が昨年8月に発生している。

 耐用年数に達していなくても金属片が発生するケースがなぜ出ているのか。原因究明と説明が求められる。

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 8人もの犠牲者を出した屋久島での墜落事故を受け米軍は、昨年12月6日から全てのオスプレイの飛行を停止。陸自も飛行を見合わせている。

 事故調査の結果が出れば数週間以内にも再開の可能性があるとの見方もあるが、機体に構造的な欠陥があることは明らかで一部の修理や機器交換では不十分だ。

 オスプレイは製造段階から重大な事故による乗務員の死亡が相次いで発生している。

 日米両政府はオスプレイの運用を停止すべきだ。