海軍オスプレイ不具合 飛行停止の無期限継続を(2024年2月21日『琉球新報』-「社説」)

 米軍の輸送機オスプレイにまた問題が発覚した。上空を飛行する際の氷結を防止する装置に不具合があるという。

 これまでも構造上の欠陥が指摘されてきた。運用開始後も事故が続発し、機体の欠陥が次々と明らかになった。現在の運用停止措置を今後も継続し、そのまま国内の配備機を全て撤去する必要がある。
 米国防総省の試験機関である運用試験・評価局が海軍仕様機のCMV22について、ことし1月に出した報告書は、防氷装置の不具合などによって「運用に適していない」との評価を示した。
 作戦任務の中止や終了につながった不具合のうち、44%が防氷装置に関するものだったという。
 昨年11月に鹿児島県・屋久島沖で発生した空軍仕様のCV22の墜落事故を受け、米軍は現在、オスプレイの運用を全世界で停止している。
 米報道によると、屋久島沖での墜落事故を引き起こした「機器故障」が特定され、国防総省が既に飛行再開に向けた計画を進めている。ところが、防氷装置などの不具合が発覚したのだ。オスプレイは安全性に関する不安材料が払拭されたことはないのだ。
 2022年6月に米カリフォルニア州南部で発生したMV22の事故について、海兵隊クラッチの作動不良による「壊滅的かつ予期せぬ機械的故障」との報告書をまとめている。従来のオスプレイの事故の際、機体の欠陥であることを否定してきた米軍による異例の報告書であり、それだけ無視できない欠陥であることがうかがえる。
 この問題について海兵隊は新たな装置を設計し、実装したことによって発生する可能性を「99%減らした」としている。
 ただ、11月の屋久島沖のCV22の事故についてもクラッチの問題が関わっている可能性がある。直前に機体が回転していたとの情報について、専門家からは「相互接続クラッチに問題があることを意味する」との指摘も出ている。欠陥機であることを裏付けるような事故がやまないのだ。
 飛行再開に関し、来県した木原稔防衛相は事前に地元に説明すると明言した。今回の事故に関する米軍の調査報告をそのまま認めて、飛行再開を容認することは断じてあってはならない。繰り返すが、欠陥があることを示す事例が積み重なっているのだ。
 県民の不安も増幅している。政府がよって立つべきは、米軍の側ではなく、事故の起きる可能性のある中で日常生活を送らなければならない国民、県民の側であることは当然のことである。
 政府は事故報告をうのみにすることなく、内容を判断すべきだ。CMV22に関する不具合についても問いただしてもらいたい。懸念を払拭できないと判断するのであれば、政府がやるべきことは飛行を再開させるなと米側に求めることだ。