能登半島地震の被災地では、壊れた家屋やがれきの片付けなどに当たるボランティアの活動が活発化し始めている。災害廃棄物の撤去は人力では限界があり、パワーショベルなどの重機を使った支援に取り組む民間ボランティア団体が、現地で活動を続けている。 【写真】重機を使って洋服やパソコンなど日用品を取り出す「DRT JAPAN」の多賀賢司さん 土木建設業などに携わる人々で構成される「DRT JAPAN」。
平成16年の新潟県中越地震を機に発足され、神奈川、長野、愛知、山形など全国各地の約20人が在籍している。 全員が重機の操縦技術を持ち、今回の地震でも発生直後から会員らが順次、
現地を目指した。甚大な被害が出た石川県輪島市や同県珠洲市で行方不明者の捜索やがれき・土砂の撤去、車両移動を担うなど、これまでに会員の約8割がボランティア活動に参加しているという。
現地では自衛隊や消防とも連携。陸上自衛隊から「こちらが持っている重機だと大きすぎて作業できない」と依頼を受けて土砂崩れで孤立集落となった現場に同行し、土砂や倒木を除去して「道」を切り開いたこともあった。
会員の一人で普段は造園業を営む多賀賢司さん(68)も、これまでに2度、自宅のある長野県から被災地に入った。
「発生直後は(捜索で)救える命を救うことが第一だったが、現在はがれきで埋もれた車を取り出したり、被災家屋に残された貴重品や思い出のアルバムなどを取り出したりする作業が増えている」と語る。
会員らは被災地では車中泊か寝袋で過ごし、食事もカップラーメンなどすべて自前で準備し作業に当たっているという。多賀さんは「今後も、重機を生かして被災者に寄り添った活動を心がけたい」と力を込めた。(梶村孝徳)