足立区で「防犯グッズ」助成申請が急増中 インパクト抜群の区報「号外」をつくった狙いは?(2024年2月19日『東京新聞』)

インパクトある「号外」で防犯グッズの購入助成への申請が急増―。東京都足立区が毎月全戸に配る区報が、住民の目を引いた。「どうしても区民に読んで制度を利用してもらいたかった」と担当職員は話す。何が注目されたのか?

◆23区で最多の品目数、約3カ月で1400件

 「うそだっ」「まさか」「私が…」。黒い背景に掲載された3人のイラストは涙を流したり、顔面蒼白(そうはく)になったりしている犯罪被害者。おどろおどろしい印象を読者に与えるのは、「犯罪撲滅緊急特集」と書かれた号外だ。頻発する自転車盗や空き巣、ニセ電話詐欺の発生状況と防犯対策を3ページにわたって紹介した。
2023年11月25日発行の「あだち広報」号外の表紙

2023年11月25日発行の「あだち広報」号外の表紙

 区は防犯グッズの購入助成への申請を昨年11月に始めた。号外を11月25日に配布してから、申請は急増。その件数は2月13日時点で1400件を超えている。

◆「足立は治安が悪い」払拭へ、「力貸してほしい」

 助成対象は、自転車のワイヤロックや防犯ガラスへの交換・工事費など44品目。東京23区では最多の品目数で、個人への助成は初めて。申請が最も多いのは、65歳以上の高齢者がいる世帯対象の「録画機能付き(動画)インターホン」の取り付け・交換費用(補助率75%、上限額7万5000円)。他に防犯カメラの設置(補助率50%、上限額3万円)も人気という。申請期限は2月29日まで。
 足立区には「治安が悪い」とのイメージがつきまとう。防犯活動に力を入れるなどして刑法犯認知件数は減少したが、2017年に6年ぶりに再び23区で認知件数が最多に。その後、減少傾向だったが、22、23年と再び増加に転じた。
 区の助成は一人一人の防犯意識を高めてもらう狙い。号外は訴える。「あなたの力を貸してください」(井上真典)