「秋篠宮家バッシング」を紀子さまはどう受け止めているのか 宮内庁関係者は「皇位継承」に支障がでることを危惧(2024年10月21日『デイリー新潮』)

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バッシングはなぜ? 
「思い悩むことがある」と打ち明けられた紀子さま
「ネット上でのバッシングに思い悩むことがあります」
 秋篠宮紀子さまは9月、心境をこう吐露した。コロナ前の2017年9月から21年10月まで、実に4年余に及んだ長女・小室眞子さんの結婚延期問題をきっかけに、秋篠宮家がSNSを中心としたバッシングにさらされている。上皇陛下の初孫として国民に長年愛されてきた眞子さん。41年ぶりの男性皇族として誕生した悠仁さまを含む3人の子供に恵まれ、皇室を陰に日向に支えている秋篠宮家。それが今、なぜ批判の矢面に立たされているのか。その背景をひも解いてみた。
「誤った情報が事実であるかのように取り上げられ、広がっていくことに恐怖心を覚え、辛く悲しい思いをしました」
 眞子さんは2021年10月26日午後、夫となったばかりの小室圭さんと一緒に都内で結婚会見に臨み、4年間の想いを明かした。「誤った情報」「恐怖心」といった言葉の端々に、不満の色をにじませていた。
 ここで簡単にお二人の結婚を振り返ると、17年5月に交際が表面化した眞子さんは、9月に婚約内定を発表。だが12月に圭さんの母が借金トラブルを抱えていることが発覚し、18年2月に結婚延期が決まると、皇族の配偶者家族として小室家の過去などを巡り、様々な声がネットや雑誌上に飛び交い、結婚の賛否が真二つに割れる事態に。
 小室家の対応に、当初は批判的な姿勢を見せていた秋篠宮ご夫妻だったが、眞子さまに押し切られる形となり、紀子さまが2020年9月の誕生日に「長女の気持ちをできる限り尊重したい」と述べるに至ると、バッシングの矛先は紀子さまをはじめ、ご一家全体に向かうようになった。
愛子天皇待望論に危機感も
 宮内庁関係者は、こう言って困惑を隠さない。
眞子さまは結婚直後にご夫婦で渡米。そのまま外国生活に入られました。女性皇族が降嫁する際に受け取る、1億円超の一時金も辞退されました。ですが秋篠宮家への逆風は一向に止まないのです」
 結婚から既に3年が過ぎ、圭さんはNY州の司法試験に合格して国際弁護士として勤務。近況は一部ネットメディアなどで伝えられる程度にとどまり、
「『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』というわけではないでしょうが、バッシングのベクトルが眞子さまを育てた紀子さまや、眞子さまを庇った次女の佳子さまに向かってしまったのです」(前出・関係者)。
 紀子さまは9月11日、58歳の誕生日を迎えられた。誕生日に合わせて公表した文書では、記者団の「ネット上などで秋篠宮家へのバッシングともとれる批判が続いている状況をどう受け止めているか」との問いに「ネット上でのバッシングによって、辛い思いをしている人が多くいるのではないかと案じています」と一般論を述べた上で、こう回答された。
「私たち家族がこうした状況に直面したときには、心穏やかに過ごすことが難しく、思い悩むことがあります。その一方で、公的な仕事を通して、あるいは普段の生活でも、私たち家族のことを大切に思ってくださり、理解してくださる方々がいらっしゃることを誠にありがたく感じております。これからも、公的な仕事やさまざまな活動でお会いする方々の言葉や、自分の思いを伝えるときの言葉の一つひとつを大切にしながら、誠実に務めてまいりたいと思っております」
 前出の宮内庁関係者は、こう類推する。
「バッシングに慣れることはないでしょうけれども、紀子さまはある程度“受け流す”ようになられたと感じていましたが、ここへきて神経を尖らせているようにお見受けするのは、唯一の男系男子である悠仁さまに“飛び火”して悪影響が出ることを危惧してのことではないでしょうか」
ロードマップは示されず
 2年前の2022年10月、紀子さまが少なからず衝撃を受けたと囁かれる書籍が、出版された。『愛子天皇待望論』。筆者は著書も多い元大学教授で著名評論家の副島隆彦氏である。
 ジェンダーフリーが浸透し、世界の王家の潮流も男子継承から男女差のない長子継承へと舵が切られる中、愛子さま皇位継承を望む声が盛り上がるのは自然の成り行き。だが紀子さまの心は穏やかではないことも容易に想像がつく。
 宮内庁元職員は「佳子さまのご誕生は1994年。悠仁さまは06年です。実に12歳の差がおありです。悠仁さまのご懐妊は紀子さまにとって一大決心だったはず。皇室の将来のために一肌も二肌も脱いだというご自負がおありでしょう」とした上で、こう指摘する。
「その悠仁さまが、眞子さまのことで逆風下にある秋篠宮家の一員としてトバッチリを受け、皇位継承にストップがかかる事態だけは『絶対に避けなければならない』というのが紀子さまの本音でしょう」
 つまりそれは「やはり秋篠宮家より天皇家」との風潮になり得るからだ。
 未婚の女性皇族は現状、天皇家の長女・愛子さま、佳子さま、三笠宮家の彬子さまと瑶子さま、高円宮家の承子さまの5人。いずれも結婚されれば皇族ではなくなる。額賀福四郎衆院議長は9月、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案については(各党から)おおむね共通認識が得られた」と自信をのぞかせたが、実現に向けた具体的なロードマップは示されていない。5人を含め、皇室メンバーは計17人で、過半数の9人が既に還暦を迎え、さらにうち5人が後期高齢者となられている。減少を続ける皇族数の問題、皇室の先細りは「待ったなしの喫緊の課題」(同関係者)なのだ。
SNS新時代の皇室は
 前出の宮内庁元職員は「紀子さまバッシングが、眞子さまの『気持ちを尊重したい』とおっしゃって以降、苛烈になったことは事実」とした上で、こう回想する。
「旧習を破り民間から嫁入りしたことで美智子上皇后が旧華族出身者や学習院OGらから受けた誹謗や、古い家族観に基づき、雅子皇后にお世継ぎのご懐妊がないことで『外務省出身の元キャリアウーマンだから外国訪問ばかりしたがる』と中傷されたのと似ています。擁護論とそうではない意見と、真二つに割れた点もそっくりなのです」
 別の宮内庁関係者は「誹謗中傷を根拠のない悪口と考えれば、言い過ぎではないかという人も(宮内)庁内には少なくありません」と明かす。SNSを見ても、おおもととなった眞子さんについて「小室さんの母の元交際相手も、一国民。皇族が国民を個人攻撃するのは違和感があった」との声や「紀子さま悠仁さまを東大に進学させようとしているのでは。皇族が一般国民と、しのぎを削って競争社会の頂点に勝ち上がるというのも違和感を覚える」といった意見は一理あるだろう。
 手話を駆使して公務に励まれている佳子さまも、大学卒業時に「姉の一個人としての(結婚の)希望がかなう形になってほしい」と述べたことで、「公より私を優先するのも違和感を覚える」との書き込みが集中した。また、卒業後はしばらく仕事を控えていたため「ニートと変わらない」と揶揄する声が相次いだ。
「的を射た批判も少なくないのは事実ですが、秋篠宮家バッシングがこれ以上エスカレートしないよう、宮内庁としてお支えすることが大切です」(同元職員)
 雑誌などによる定期的な批判ではなく、1年365日、不特定多数の一般の人から批判にさらされる新時代のテーマがSNS対策だ。天皇の次男家のため、悠仁さまが“帝王教育”を受けていないことが紀子さまの“負い目”となっているならば、新時代のバッシングが「心穏やかに過ごすこと」が難しいのも頷けるだろう。
朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。
デイリー新潮編集部