議員任期延長は本末転倒 長谷部恭男・早大法学学術院教授【24衆院選】(2024年10月20日『時事通信』)

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 長谷部恭男・早大法学学術院教授(憲法)の話 憲法54条は衆院解散から40日以内の総選挙、選挙から30日以内の国会召集を規定している。
 それまでの政権が居座りを決め込むことがないように日限を置いている。議員任期の延長は、従前の衆院多数派とそれによって支えられている政府を居座らせようという話だ。制度の根本目的からすると本末転倒だ。
 (大規模災害などに遭った)特定地域では解散から40日以内の選挙が難しいことがあり得るが、それは可能な限り速やかに選挙をするというように条文を受け取ればいい話だ。 

法の支配を守る 法の支配を守る 井上武史・関西学院大教授【24衆院選】(2024年10月20日『時事通信』)
 
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 井上武史関西学院大教授(憲法)の話 議員任期延長は現行憲法の不備を補うものだ。
 また権限集中や拡大ではないため、典型的な緊急事態条項とは違い人権制限の恐れもない。
 そもそも緊急事態条項はシステムのバックアップだ。国の政治システムだけ、それをとらないのは合理的な考えではない。緊急事態条項が独裁につながると言っているのは日本だけだ。欧州では緊急事態条項こそが立憲主義、法の支配を守るという認識だ。日本国憲法には備えがないので、それでいいのかという角度から議論した方がいい。