「カルト教団べったりの政治終わらそう」「物価高へ手取りを増やす政策を」…東京で響いた候補者の訴え(2024年10月16日『東京新聞』)

 
 自民党派閥の裏金問題や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関連をどう捉えるか、物価高で厳しさを増す暮らしを支える施策は―。衆院選は15日に公示され、有権者が行き交う駅前や商店街に候補者の訴えが響いた。27日に投開票を迎える短期決戦。一票をどう投じるか、候補者の資質を見極める日々が始まった。(東京ニュース取材班)
東京都内で演説に耳を傾ける人たち(平野皓士朗撮影)

東京都内で演説に耳を傾ける人たち(平野皓士朗撮影)

◆旧統一教会の疑惑を釈明「全くの事実無根」

 「あたかも政治的な圧力で(宗教団体の)名称変更されたかのような野党の質問があったが、全くの事実無根」。裏金問題で自民党の公認を得られなかった無所属前職は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る疑惑についてこう強調した。高額献金などで信者や子どもらの被害が指摘されている点には「私自身も苦労された方々に向き合いながら対処したい」。
 同様に自民非公認となった別の無所属前職は自民の調査で「関連団体会合であいさつ」など旧統一教会との接点が複数、指摘された。だが、この日の演説では裏金問題について釈明したものの、旧統一教会問題には言及しなかった。
 同じ選挙区に、この問題を追及してきた立民新人が出馬。演説で「不当に高額につぼや印鑑を売り付ける霊感商法を行ってきた(旧)統一教会とべったりの政治家がいる。裏金だけでなく、カルト教団にもべったりの政治を終わらそう」と力を込めた。
東京都内で候補者の演説を聞く有権者ら(平野皓士朗撮影)

東京都内で候補者の演説を聞く有権者ら(平野皓士朗撮影)

◆「非正規雇用、格差や混乱は広がった」

 暮らしに直結する経済対策は与野党の候補者がともに言及。最低賃金引き上げの方向性は与野党がほぼ一致する中、立民候補者らは政府の施策を批判した。
 「物価が上がって生活がしんどいのに、政治は皆さんの方を向いていますか」。立民前職は都内の子育て世代も多いエリアの私鉄駅前で、手取り増を実感できる施策や、子どもへの投資の必要性を強調した。
 「給料・年金が上がる経済」を党の公約に掲げる国民の新人は、都内のJR駅前で第一声。「非正規雇用が小泉(純一郎)さん、安倍(晋三)さんのころからどんどん増え、格差や混乱は広がった。物価高に見合う、手取りを増やす政策を」と主張した。
東京都内で、候補者をスマホで撮影する有権者(木戸佑撮影)

東京都内で、候補者をスマホで撮影する有権者(木戸佑撮影)

◆「社会保障改革は喫緊の課題」

 商店街の前に立った維新前職は、店主や経営者らが集まる中「社会保障改革は喫緊の課題。真剣に話し合っていかなければ」と語りかけた。別のJR駅前では自民新人が「暮らしにゆとりを感じていただき、次の世代に平和で安全で豊かな日本をつなぐ」と訴えた。