桐生市役所
一連の問題では、市の内部調査で利用者から預かった印鑑が計1948本に上り、書類への無断押印が行われていたことも既に明らかとなっているが、当事者が告発するのは初めて。支援者数人も告発に加わる予定という。
女性は2022年1月に日本人の夫が病死後、同居していた夫の親族から暴力や嫌がらせを受けた。このため、知的障害がある長男とともに桐生市内のアパートへ避難。23年9月下旬に生活保護を申請し、約1カ月後に保護決定が出た。しかし、保護費支給が大幅に遅れ、女性を支援する弁護士が市へ説明を求めた過程で無断押印が発覚した。
告発状によると、ケースワーカーは同年10月27日、保護費が支払われていないにもかかわらず、保護費受領簿に女性と同姓の印鑑を押印し、女性が保護費を受け取ったように偽装。また、ケースワーカーと指導員は同年11月27日、女性や弁護士、司法書士らと面会した際にこの受領簿を閲覧させ、正しい公文書のように装ったとしている。
◆市は面会の場で無断押印や虚偽説明を事実を認めた
市は当初、女性本人が押印したと説明していたが、同年12月、本人や支援者らとの面会の場で「押印は支給の会計処理を完結させるためだったが、本人以外の印鑑を使うのは問題がある処理なので、指摘を受けて動転して事実と異なる説明をしてしまった」と無断押印や虚偽説明を認めた。
女性は東京新聞の取材に「私と同じような目に遭う人を出さないために告発を決めた。捜査機関にきちんと調べてもらいたい」と話した。(小松田健一)