立民代表選 情勢 議員票は野田氏最多で枝野氏続く 決選投票か(2024年9月20日『NHKニュース』)

9月23日に投票が行われる、立憲民主党の代表選挙は、これまでのところ、国会議員票では野田元総理大臣が最も多くの支持を固めていて、枝野前代表がこれに続いています。
ただ、1回目の投票ではいずれも過半数には届かず、上位2人による決選投票となる公算が大きくなっています。

立憲民主党の代表選挙は、23日の投開票に向けて、野田元総理大臣、枝野前代表、泉代表、吉田晴美氏の4人による選挙戦が続いています。

今回の代表選挙は、合計740ポイントで争われ、内訳は衆参両院の副議長を含む136人の国会議員に1人2ポイントで、272ポイント、98人いる国政選挙の公認候補予定者に1人1ポイントで98ポイント、それに全国の地方議員と、党員・サポーターには、それぞれ185ポイントが割り当てられます。

終盤情勢 議員支持 野田氏最多の40人超 枝野氏は約30人

NHKでは、国会議員や国政選挙の公認候補予定者に意向を聞いたほか、全国の各放送局を通じて都道府県連などを取材し、情勢を探りました。

これまでのところ、国会議員136人のうち野田氏が最も多い40人を超える支持を固めています。

次いで枝野氏がおよそ30人、泉氏と吉田氏は、それぞれ20人前後から支持を得ています。

一方、およそ20人はまだ決めていないなどとしています。

また国政選挙の公認候補予定者では、野田氏が最も多くの支持を固めています。

地方議員と党員・サポーターによる、いわゆる「地方票」は、4人の候補が、それぞれの地元を中心に支持を広げています。

ただ4人に支持が分散していて、1回目の投票ではいずれも過半数には届かず、上位2人による決選投票となる公算が大きくなっています。

地方議員「政権交代目指す選挙」「主張に大きな違い見られず」

NHKは全国の各放送局を通じて、党所属の地方議員などに取材しました。

政権交代に向けた代表選挙の位置づけや4人の候補の評価などさまざまな声が聞かれました。

次の衆議院選挙の時期が近いとの指摘もある中、今回の代表選挙について地方議員からは「政権交代を目指すための大事な選挙だ」とか「野党をまとめられる代表が必要だ」といった声があがっています。

一方で「立憲民主党は寄り合い所帯で組織が整備されておらず、まずは組織づくりが重要だ」など党の体制強化を求める意見や「今回の候補者の主張に大きな違いが見られない」などといった指摘もありました。

地方議員の声 候補者の評価は

4人の候補者の評価です。

野田元総理大臣は「保守的な無党派層の取り込みには野田氏の経験が必要だ」とか「安定感があり、政権を担える」など経験を評価する声がありました。

一方で「民主党政権を終わらせた人で、責任を明確にしていない」とか「意欲を見せる日本維新の会との候補者調整はマイナスにしかならない」などという意見もありました。

枝野前代表は「政権交代を見据え、経験豊富な人がよく、経済政策がしっかりしている」とか「党の創設者であり、旗揚げした時をほうふつとさせる演説は覚悟のあらわれだ」など政策や経験を評価する声が出されました。

一方で「前回の衆議院選挙で負けたみそぎが済んでいない」とか「野党再編は枝野氏にはできない」などという意見もありました。

泉代表は「代表として地方議員を大切にする姿勢を感じる」とか「ことし4月の衆議院の3つの補欠選挙に勝利するなど着実に成果を出している」など3年間の実績を評価する声がありました。

一方で「政権を担うだけのインパクトがある政策を打ち出せていない」とか「バランスをとる場面が目立ち何をやりたいのか分からない」などという意見もありました。

吉田晴美氏は「女性が代表になることで党としての刷新感が生まれ、次の衆議院選挙でも躍進できる」とか「世代交代が期待できる」など唯一の女性候補であることや当選1回の若手であることに期待の声があがりました。

一方で「当選1回では経験不足ではないか」とか「知名度がない」などの意見もありました。

候補者 ギリギリまで働きかけへ 20日の動き

代表選挙で、地方議員や党員・サポーターによる「地方票」は、郵便投票が20日で締め切られます。

インターネット投票は22日の午後5時が締め切りとなっていることから、4人の陣営では、ギリギリまでSNSなどで支持を呼びかけるほか、態度が未定の国会議員らに働きかけを続けています。

20日の4人の動きです。

野田氏「決選投票になることも」

 

野田元総理大臣は、議員会館の事務所で、1人1ポイントの投票権を持つ国政選挙の公認候補予定者に電話をかけて支持を求めました。

このあと野田氏は記者団に対し「地方議員や党員・サポーターの郵便投票の締め切りはきょうまでなので、今後は公認候補予定者や投票先が未定の国会議員への働きかけに絞られてくる。ベストを尽くしたい」と述べました。

その上で「場合によっては決選投票になることもありえるので、そういうことも念頭に置いて勝ち切るための戦いをやっていきたい」と述べました。

枝野氏「残り期間 集中的にネット発信」

 

枝野前代表は、議員会館の事務所で、自身の選挙対策本部長を務める近藤昭一衆議院議員らと選挙戦の情勢分析を行った上で、若者に向けた訴えを強化することなど今後の方針を確認しました。

このあと枝野氏は記者団に対して「地方議員や党員・サポーターによる投票はインターネット投票であれば、まだ締め切りまで時間がある。残りの期間、集中的にネットを通じた発信を頑張りたいし国会議員や国政選挙の公認候補予定者への働きかけも仲間とともに進めていきたい」と述べました。

その上で「投開票が行われる党大会では、いま暮らしの現場で困っている人の声をしっかり受け止めていると伝えられるような演説ができるよう準備したい」と述べました。

泉氏 旧統一教会自民党「調査は不十分」

 

泉代表は、議員会館の事務所などで選挙戦終盤での支持拡大に向けて戦略を練ったほか、メディアの取材に応じました。

また午後には野党の会合に出席し、旧統一教会自民党との関係をめぐって「岸田総理大臣は『自民党と組織的関与はない』と言い続けてきたが、個別の議員に対する調査は不十分で、総裁選挙の候補者は再調査への見解を明らかにすべきだ」と述べました。

その上で「旧統一教会に多額の献金などをした被害者は放置された状態で、立憲民主党は引き続きこの問題に取り組んでいく」と述べました。

吉田氏「決断を受け止めて投票日に」

 

吉田晴美氏は午後、自身のYouTubeチャンネルで江田・元代表代行と対談しました。

この中で江田氏は、みずからは立候補せず吉田氏の支援にまわったことについて「苦渋の決断だったが、吉田氏が立候補したことでジェンダー平等という党のイメージが傷つかず救われた」と激励しました。

これに対し吉田氏は「決断を受け止めて投票日に向かっていきたい」と応じました。

このあと吉田氏は記者団に対し「選挙戦終盤は国会議員と国政選挙の公認候補予定者に語りかけていきたい。過去に3回落選し、苦しみを経験している身として特に、公認候補予定者に『皆さんが当選したら活躍できる党だ』と訴えていきたい」と述べました。

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