米大統領選 テレビ討論会 複数の米メディア「トランプ氏防戦」(2024年9月11日『NHKニュース』)

11月のアメリカ大統領選挙に向けた、ハリス副大統領とトランプ前大統領によるテレビ討論会が行われ、アメリカの複数のメディアは「ハリス氏がトランプ氏を防戦にまわらせた」と伝えています。一方、トランプ氏は国境管理政策をめぐりハリス氏の責任を繰り返し追及し、自身への支持を呼びかけました。

民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領による初めてのテレビ討論会は、激戦州のひとつ、ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われました。

90分間にわたった論戦ではまず経済政策がテーマとなり、ハリス氏は「中間層と労働者を引き上げるための計画を持っているのは私だけだ」とした上で、「トランプ氏の経済政策は富裕層や大企業に減税策を提供することだ」と指摘しました。

これに対してトランプ氏は国内のインフレの状況について「インフレは国を崩壊させるもので、おそらくアメリカ史上最悪だ」とバイデン大統領とハリス氏の政権の経済政策を批判するとともに、「私はわが国で史上最も偉大な経済のひとつを築いた。もう一度やる」と強調しました。

ハリス氏は3年前に起きたトランプ氏の支持者らによる議会への乱入事件をめぐり、トランプ氏が「起訴されている」と指摘しました。

一方のトランプ氏は現政権による国境管理政策について「何百万人もの犯罪者やテロリスト、麻薬の売人たちが入国することを許した」などと主張し、近年、メキシコとの国境を越えてくる人が急増している問題でハリス氏の責任を繰り返し追及し、自身への支持を呼びかけました。

討論会では、両者が経済政策をめぐって相手を「計画がない」と指摘したほか、互いの主張を「うそだ」と批判し合う場面もあり、激しい応酬となりました。

投票日まで2か月を切る中、全米を対象にした各種世論調査の平均では、ハリス氏とトランプ氏の支持率はきっ抗しています。

両者とも討論会をきっかけに流れを引き寄せたい考えで、有権者の受け止めが注目されています。

《討論会 両者の様子》

討論会場近くに設けられたプレスセンターには、メディア向けにおよそ1000の席が準備され、国内外の多くのメディア関係者が大型モニターでテレビ討論会を見守りました。

討論会の冒頭、ハリス副大統領が「カマラ・ハリスです」と名乗りながら、トランプ前大統領に握手を求めて歩み寄りました。握手のあと、ハリス氏が画面向かって右側の演台に、トランプ氏は向かって左側にそれぞれ立って討論が始まりました。

ハリス氏はトランプ氏の発言中、トランプ氏の方を見ながら「事実ではない」と口の動きでわかるように示したり、首を横に振ったり、眉をしかめたりといったしぐさをしていました。また、たびたび「あなた」という言葉を使って、討論会の視聴者に向かって話しかけるように発言することがありました。

一方、トランプ氏はハリス氏の発言中、ほとんどハリス氏に視線を投げかけることはなく、前を向いていました。また、トランプ氏は自身の発言がさえぎられそうになると「私がいま話しています」とハリス氏が4年前の副大統領候補討論会で使った言葉で切り返し、相手の発言を妨害するのはハリス氏だと強調するような場面もありました。

90分あまりの討論のあいだ発言時間は均等に与えられていましたが、CNNテレビによるとトランプ氏が発言していたのは合計42分52秒、ハリス氏が発言していたのは合計37分36秒だったということです。

《双方主張には一部誤り指摘も》 

トランプ氏はバイデン政権が「誰も見たことのない、おそらくアメリカ史上、最悪のインフレを招いた」と発言しました。これについてアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは、過去にもっと大きなインフレが起きていると指摘し、この発言が誤った情報だと報じています。

また、トランプ氏はバイデン政権で新たにつくられた雇用は、新型コロナが感染拡大する中で失われた雇用を回復しただけだと主張しました。これについてニューヨーク・タイムズは、バイデン政権下では新型コロナの感染拡大で失った雇用を回復したうえで、さらに新たな雇用を生み出したと指摘してこの発言が誤りだと伝えています。

一方、ハリス氏は「トランプ氏が大恐慌以降、最悪の失業率をわれわれに残した」と主張しました。これについてニューヨーク・タイムズ政権交代した際の失業率をあげ「大恐慌以来、最悪の失業率には遠く及ばない」と指摘して、この主張が誤りだと報じています。

《討論会後の関係者の反応》

トランプ前大統領は討論会を終えたあと、会場近くのプレスセンターに姿を見せました。大勢の報道陣に取り囲まれたトランプ氏は「今までで最高の討論会だった」と述べました。アメリカのメディアによりますと、討論会のあと、候補者本人がプレスセンターに姿を見せることは少なく、「トランプ氏が突然、姿を見せた」と驚きをもって伝えています。一方で、ハリス副大統領はプレスセンターに姿を見せませんでした。

共和党の副大統領候補、バンス上院議員もプレスセンターで取材に応じ、「ハリス氏の発言の中身はスローガン以外にはほとんど何もない。彼女は3年半副大統領をつとめているのに、自身の実績について話すことができない」などと批判しました。

一方、ハリス陣営によりますと、民主党の副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事は選挙活動のため、アリゾナ州に行く予定だとしていて、プレスセンターには姿は見せませんでした。

民主党のニューサム・カリフォルニア州知事は報道陣の取材に、「討論会はハリス氏が部屋に入ってきて握手したときからその場を支配し、トランプ氏は防戦一方になった。ハリス氏だけではなく、アメリカ国民や自由、民主主義にとっても大きな夜になった」と述べ、ハリス氏を絶賛しました。また、アメリカの人気歌手のテイラー・スウィフトさんがハリス氏への支持を表明したことについて、「彼女は文化的な象徴で、とても大きなことだ」と述べて歓迎しました。

《米メディアの反応》

CNNテレビによりますと、討論会を視聴した605人を対象に行った調査では、
▽「ハリス氏がよかった」と答えたのは63%
▽「トランプ氏がよかった」と答えたのは37%
だったということです。

討論会前に同じ人に対し「どちらのほうがよい討論を行うと思うか」と質問したところ、半分に割れていたとしています。

また、ニューヨーク・タイムズは「ハリス氏は検察官としてのスキルを誇示し、トランプ氏をいらだたせるため、あらゆる機会をとらえた。トランプ氏は終始、防戦にまわった」と論評しています。

AP通信は「ハリス氏は身ぶり手ぶりと表情を使ってトランプ氏に立ち向かい、彼の答えがばかげているということを表現した。トランプ氏のとげとげしい政治からの脱却を求める有権者への救いとなるようにみずからを演出することに余念が無かった」と伝えています。

一方、FOXテレビは、「トランプ氏は司会者とも戦った。彼に対するファクトチェックに余念がない一方で、ハリス氏が事実をわい曲したことはそのままにしていた」と伝え、主催したABCテレビの進行を批判しています。

《2回目の討論会の可能性は》

2回目の討論会の開催についてハリス氏の陣営は討論会後、声明で「ハリス氏は準備ができている。トランプ氏はどうだろうか」と前向きな姿勢を示しました。

一方、アメリカメディアによりますとトランプ氏は、記者団に対し「ハリス氏側は負けたからもう1回、討論したいんだ。われわれはそれについて検討する」と述べるにとどめました。

専門家「ハリス氏のほうがやや優勢」 

アメリカ政治に詳しい慶應義塾大学渡辺靖教授は、テレビ討論会について、「双方ともに大きな失点はなかった」としたうえで、「選挙のカギを握るのは、まだ態度を決めかねている穏健派や無党派の人たちだ。こうした人たちのことを考えると、今回はハリス氏のほうがやや優勢だったと思う」という見方を示しました。

渡辺教授は無党派層などの心情について「ハリス氏で大丈夫なのかということが大きな不安材料だったはずだ」と指摘し、「ハリス氏は自身のことをよく知らない人に対し、生い立ちなどを振り返りながら、労働者、中間層の人たちの共感を勝ち取ろうとした」と評価しました。

そのうえでハリス氏について、「より過激な言動を繰り返すトランプ氏の手法はもう古いんだ、うんざりだと、もっと前に進もうという無党派層・穏健派の人たちの思いに訴えるアプローチをとった」と述べました。

特に印象に残った発言として、「私はバイデンではない、トランプでもない」というハリス氏の切り返しや、「次世代を切り開いていこう」と語りかけた「Let’s turnthe page」というフレーズを挙げ、「核となるメッセージだった」と指摘しました。

さらに、ハリス氏は「表情豊かに笑顔を見せたり、あごに手をあてて『そうですか』というようなニュアンスの表情を見せたりして、全体的に余裕を感じた」と述べました。

一方のトランプ氏について、渡辺教授は「無党派層の支持をとりに行くという点では同じで、あまり不規則発言をせず、厳しい表情を崩さないで、抑制的だった」と評価しました。

そのうえで、トランプ氏が話が脱線し、司会者から問い直される場面が複数回あったとし、「トランプ氏にとってはごく当たり前で支持者は違和感をもっていないと思うが、討論会を見て態度を決めようと思っている無党派層の人たちには、安定性に欠けると見えたかもしれない」という見方を示しました。

そのうえで今回の討論会について、「ノックアウトパンチのような決定打はなかったが、選挙のカギを握る激戦州のまだ態度を決めかねている人たちにとっては、ハリス氏のほうが優勢だったと思う」という見方を示したうえで、今後の焦点について、投票のための有権者登録に触れ「候補者のイメージやメッセージだけではなく、実際に有権者にいかに登録をし投票してもらうかというきめ細かい対応をしていけるかがカギになる」と述べました。

《両者の発言詳細》

ハリス氏「独裁者たちが応援」トランプ氏「弱くて無能」

ハリス氏は「トランプ氏がキム・ジョンウン総書記とラブレターを交換したことはよく知られている。そしてこうした独裁者たちは、お世辞などでトランプ氏を操れることがはっきりしているので、トランプ氏が再び大統領になることを応援している。だからこそ、安全保障に関して一貫して弱くなく、間違いのない大統領を選ばなければならない」と述べました。これに対し、トランプ氏は「プーチン大統領は『ハリス氏が勝利してほしい』と述べ、彼女を支持した。彼は本気だったと思う。他国のリーダーたちはハリス氏たちが弱くて無能だと思っている。彼らは極めて無能だ」と述べました。

アフガニスタン撤退 ハリス氏「トランプ氏が不利な合意した」

3年前のアメリカ軍のアフガニスタン撤退をめぐり、ハリス副大統領は「わたしはバイデン大統領の決断に同意した。そしてきょう現在、戦闘地域にアメリカ軍の兵士はひとりもいない。そもそもなぜこのようなことになったかを考えよう。トランプ氏が大統領だった時に、最も不利な内容で合意したからだ」と述べました。

アフガニスタン撤退トランプ氏「最悪の撤退」

3年前のアメリカ軍のアフガニスタン撤退をめぐり、トランプ氏は「われわれであれば、多くのアメリカ人を取り残すことも、真新しい兵器を置き去りにすることもなかっただろう。合意にはやるべきことが盛り込まれていたのに、彼らはやらなかった。最悪の撤退で、わが国の歴史上最も恥ずかしい瞬間だった」と述べました。

トランプ氏「ハリス氏は銃没収する計画」ハリス氏は否定

銃規制についてトランプ氏は「ハリス氏は全員から銃を没収するという計画を持っている」と述べました。これに対しハリス氏は「わたしも副大統領候補のウォルズ氏も、銃の所有者だ。誰の銃も取り上げるつもりはない」と述べました。

ハリス氏「気候変動 現実的な問題」

ハリス氏は気候変動対策について問われると「トランプ氏は気候変動はデマだと言ったが、非常に現実的な問題だ。異常気象に見舞われた州に住む人は、住宅保険を拒否されたり、保険料を値上げされたりしている。アメリカの若者たちはこの問題に深い関心を持っている」と述べました。

そして「この4年間、副大統領としてクリーンエネルギー経済に1兆ドルを投資し、国内でのガス生産量を歴史的な水準まで増加させたことを誇りに思う。80万人を超える製造業の新規の雇用も創出した」と述べ、これまでの実績をアピールしました。そのうえで「トランプ氏は製造業の雇用を創出すると言ったが、雇用は失われた」と述べました。

トランプ氏「ハリス氏が勝てば『フラッキング』終わる」

エネルギー政策についてトランプ氏は「もしハリス氏が選挙に勝てばペンシルベニア州での『フラッキング』は初日で終わるだろう」と述べました。そのうえで、「わたしは誰も成し遂げたことがないほど石油産業を軌道に乗せた。もしハリス氏が選挙に勝てば、石油はだめになり、化石燃料はだめになる」と述べました。

ウクライナ侵攻 ハリス氏「トランプ氏は諦める」

ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、ハリス氏は「トランプ氏が24時間以内に戦争を終わらせると言っているのは、ただ諦めるからだ。われわれは50か国を結集させ、ウクライナの正当な防衛を支援した。そのおかげでウクライナは独立した自由な国として立っている。もしトランプ氏が大統領だったら、いまごろプーチン大統領がキーウに居座っていただろう」と述べました。

ウクライナ侵攻 トランプ氏「就任する前に終結させる」

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、トランプ氏は「戦争を終わらせたい。わたしはゼレンスキー大統領をよく知っているし、プーチン大統領もよく知っている。いい関係にある。そして彼らはわたしに敬意を持っている。わたしが選挙に勝てば、就任する前に終結させる。一方と話し、他方とも話して、彼らを仲介する。戦争を終わらせることがアメリカにとっての利益だ」と述べました。

人種めぐり ハリス氏「国民を分断するために利用は悲劇」

ハリス氏は「大統領になりたいと思っている人間が、これまでのキャリアで一貫して人種をアメリカ国民を分断するために利用しようとしてきたことは正直に言って悲劇だ。わたしたちの大半はわたしたちを分け隔てる点より共通する点のほうが断然多いことを知っている。特に人種によってわたしたちを常に分断しようとするこのような手法は望んでいない」と述べました。

人種めぐり トランプ氏「ハリス氏どうであろうと気にしない」

トランプ氏はハリス氏について「インド系であるとアピールしていたのに突然、黒人になった」と人種をめぐる発言をしたことが適切だったか司会者に問われると「ハリス氏がどうであろうと気にしない。私が言えるのは、ハリス氏が黒人ではないとも、黒人だとも書かれているということだ。どっちでもいい。ハリス氏しだいだ」と述べました。

ガザ情勢 トランプ氏「ハリス氏ならイスラエル消滅」

ガザ情勢をめぐり、トランプ氏は「私が大統領であれば、そもそも戦闘は起きていなかった。ハリス氏が大統領になれば、2年以内にイスラエルは消滅するだろう。彼女はイスラエルが嫌いだし、アラブ人も嫌いだ」と述べました。また、イランについては「トランプ政権下ではイランは破たんしていた。今や豊かな国になり、お金をばらまいている」と述べました。

人工妊娠中絶 ハリス氏「自分の体 決定する自由を」

人工妊娠中絶をめぐってハリス氏は「トランプ氏は女性に対して、自分の体をどうするべきか指示するべきではない。自分の体について決定する自由を、政府によって決定されるべきではないと、アメリカの国民は信じているだろう」と述べました。

人工妊娠中絶 トランプ氏「各州が判断できるように」

トランプ氏は、人工妊娠中絶について「ハリス氏が選んだ副大統領候補は、9か月目での中絶は問題ないと言っているが、それは私にとっては問題だ」と述べました。そして、連邦最高裁判所が2022年、中絶は憲法で認められた権利だとする判断を覆したことについてふれ「6人の最高裁判所の判事の才能と強さを通して実現することが出来た」と述べました。
そのうえで「性的暴行や母体の命に関わるものについては例外だと考えている。中絶について政府に縛られることなく、各州が判断できるようになり、わたしはこのやり方の実現に向けて大いに貢献した」と述べました。

エネルギー政策 ハリス氏「『フラッキング』を禁止しない」

エネルギー政策に関連してハリス氏は「フラッキング」と呼ばれる、地下の岩盤に高圧の水を注入して天然ガスを取り出す技術について「私は2020年に『フラッキング』を禁止しないと明言した。私の立場は、多様なエネルギー源に投資し外国産の石油への依存を減らすべきだというものだ」と述べました。

中東情勢 ハリス氏「イスラエルには自衛する権利ある」

中東情勢をめぐり、ハリス氏は「イスラエルには自衛する権利がある。どのように行うかが問題だ。なぜなら、あまりにも多くの罪のないパレスチナ人や子ども、母親が殺されているからだ。この戦争はすぐに終わらせなければならない。そのためには停戦に向けた合意が必要であり、人質が解放されなければならない」と述べました。

トランプ氏「流入してきた人たち 猫や犬を食べている」

トランプ氏は「数百万人が刑務所や精神科の病院からわれわれの国に流入している」と述べた上で、「オハイオ州スプリングフィールドでは彼らは犬を食べている。流入してきた人たちが猫を食べている。そこに住む人々のペットを食べている。これが、いまこの国で起きていることだ」と述べました。

これについて司会を務めるABCのアンカーから、「はっきりさせておきたい。ABCとしてスプリングフィールドの担当者に連絡したところ、移民のコミュニティによってペットが危険な目にあったり虐待されたりしているという報告はないと話していた」と指摘される場面がありました。

ハリス氏「国境警備の法案 トランプ氏が廃案にしろと言った」

ハリス氏は「わたしは銃や麻薬、人身売買の国際犯罪組織を起訴してきた」と強調しました。そして、国境管理や移民政策について「上院の保守的な議員を含む議会は国境警備の法案を提出し、わたしはそれを支持した。この法案では国境警備隊が増員され、銃や麻薬、人身売買を行う国際犯罪組織を起訴するための資源を確保することができたはずだ」と述べました。そのうえで「トランプ氏が議員に電話をかけ、法案を廃案にしろと言った」と批判しました。

トランプ氏「司法省を武器として使った」

トランプ氏は、不倫の口止め料をめぐって業務記録を改ざんした罪に問われたニューヨーク州の裁判で有罪の評決が下されたことなどを念頭に、「司法省を武器として使った。この国でかつて起きたことはない、選挙に勝つために利用した。これは偽りの事件だ」と述べました。

ハリス氏「トランプ氏は司法省を利用すると公言」

ハリス氏は3年前に起きた議会乱入事件をめぐり、起訴されたトランプ氏の刑事責任について、連邦最高裁判所がことし7月「大統領在任中の公務としての行動は免責される」という判断を示したことを指摘した上で、「トランプ氏は憲法を廃止し、政敵に対して司法省を利用すると公言している人物だ。ガードレールがない状態で、トランプ氏がホワイトハウスに戻ったら何が起きるのか理解してほしい。間違いなく裁判所はトランプ氏を止めようとしない」と述べました。

《トランプ氏の発言》

「大幅な減税を実施」

トランプ氏は「私が何をしようとしているかは誰もが知っている。大幅な減税を実施し大統領在任中に行ったように、すばらしい経済を作り上げる。新型コロナの感染拡大によって多くの人が命を落としたが、私たちはコロナ禍においてすばらしい仕事を行った」と述べました。

「私は歴史上、最も偉大な経済を築き上げた」

トランプ氏はみずからが大統領在任時には「関税はあったがインフレはなかった。インフレは国を崩壊させるもので、おそらくアメリカ史上最悪のインフレを招いた」とバイデン大統領とハリス副大統領の政権を批判した上で「私は歴史上、最も偉大な経済を築き上げた。それを再び実現する」と述べました。

《ハリス氏の発言》

「AI・量子コンピューターの技術への投資に注力」

ハリス氏は「トランプ氏はアメリカの半導体を中国に売り渡し、中国が軍備を向上させることを手助けした。わたしは同盟国との関係を重視し、AIや量子コンピューターの競争に勝つために技術への投資に力を入れ、アメリカの労働者が不利になることがないよう必要なことに注力する」と述べました。

「トランプ氏がもたらした混乱を一掃」

「トランプ氏はわたしたちの民主主義に対し、南北戦争以来で最悪の攻撃をした。わたしたちが行ったのは、トランプ氏がもたらした混乱を一掃することだった」と述べました。

「中間層と労働者を引き上げる計画」

「中間層と労働者を引き上げるための計画を持っているのは私だけだ」とした上で、若い世帯が子どもを育てるための支援が必要だと強調しました。また「トランプ氏の経済政策は、富裕層や大企業に減税策を提供することだ。中間層には年間4000ドル以上の負担増になる」と指摘しました。

今後の主な日程 

官房長官「選挙の行方を引き続き注視」

官房長官は午前の記者会見で「今回の討論会をはじめ、アメリカ大統領選挙に関わる状況はしっかりとフォローしている。日米同盟はわが国の外交・安全保障政策の基軸で、アメリカの内政の動向は、その推移やあり得べき影響も含め常日頃から高い関心を持っており、選挙の行方を引き続き注視していく」と述べました。

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