▲76年に米国に滞在していた編集者、大嶋賢洋さん(75)は、被爆の実相が米国内で知られていない現実にショックを受けた。「ゲン」を通じて伝えたいと帰国して中沢さんに会い、英訳の許可を得た。若者有志らで2巻分を訳し、自費出版で米国などに送ったという。その後、ロシア語訳に取り組んだ翻訳者、浅妻南海江さん(82)らのプロジェクトチームが改めて英訳も進め、約10年がかりで2009年に全巻が出版された
▲作者の中沢さんが今夏、米国の権威ある漫画賞、アイズナー賞で「コミックの殿堂」入りを果たした。日本人で8人目。授賞理由には「はだしのゲン」が多くの言語に訳されている点も挙げられた
▲浅妻さんが理事長を務めていた「はだしのゲンをひろめる会」によると、作品はすでに25言語で訳された。浅妻さんは中沢さんの受賞を「米国社会で原爆投下への評価がずいぶん変化したことを実感させます」と喜ぶ