男性の育休取得を促す施策を盛り込んだ改正育児・介護休業法が可決、成立した衆院本会議=国会内で2021年6月3日、竹内幹撮影
男女が平等に家事や育児を担う。それが当たり前の社会を実現する一歩にしたい。
2023年度の男性の育児休業取得率が30・1%となり、初めて3割を超えた。前年度から13ポイントの大幅な上昇だ。取得期間も伸び、「2週間未満」が減る一方で「1カ月以上」が増えた。
改善の背景には、妊娠・出産を届け出た従業員に育休取得の意向を確認するよう、企業に義務づけたことがある。4回まで分けて取れるなど、柔軟な仕組みを導入した効果もあったとみられる。
とはいえ、男女差は大きい。女性の取得率は8割を超え、9割超の人が半年以上取っている。
男性の多い正社員の長時間労働が常態化し、家事・育児の負担が女性に偏っているためだ。それが少子化の一因ともされている。
このため、政府は男性の育休取得の促進を少子化対策の柱の一つに据え、取得率の目標を「25年に50%、30年に85%」としている。
男性の取得をさらに後押しするために、来年4月から、出産直後に夫が妻と同時期に取った場合は育休給付を増額する。
職場環境の整備も欠かせない。厚生労働省の調査では、男性労働者の4人に1人が、育休を取ろうとした際に上司などからハラスメントを受けていた。
だが、育休は労働者の権利である。気兼ねなく取得できるよう、人員配置などの対策を講じるのは経営者の責務だ。
ただ、人員に余裕のない企業は体制を整えるのが難しい。企業規模が小さくなるほど、育休の取得が少ない傾向がある。
国は、代替要員への手当に対する助成を今年から拡充した。来春からは、「従業員1000人超」の企業に義務づけている男性の育休取得率の開示を「300人超」に拡大する。
若者世代の意識は時代と共に変わっている。厚労省の調査では、18~25歳の男性の8割が育休を取得したいと考えている。そのうち3割は半年以上を希望する。
こうした意識を企業が受け止めなければ人材確保はおぼつかない。男女を問わず、家族との時間を大切にしながら働き続けることができる。そうした環境を一日も早く整えることが必要だ。