一転して「知事おろし」ムードに 維新に何が 兵庫のパワハラ疑惑(2024年8月31日『毎日新聞』)

会合後、報道陣の質問に答える日本維新の会の藤田文武幹事長=神戸市中央区で2024年8月31日午後3時6分、戸田紗友莉撮影
会合後、報道陣の質問に答える日本維新の会の藤田文武幹事長=神戸市中央区で2024年8月31日午後3時6分、戸田紗友莉撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、真相解明を優先する立場を取ってきた日本維新の会が一転、「知事おろし」に傾きつつある。党内からは「他党に先んじて不信任決議案を出すべきだ」と強硬論も出ていたが、31日の党幹部と地元・兵庫維新の会の協議では結論を持ち越した。

早期決着を求める声

 9月6日に予定される県議会調査特別委員会(百条委)での斎藤知事の2度目の証人尋問を受けて、改めて党としての対応を決めるという。しかし、現場からは「(衆院)解散・総選挙も近いと言われており、これ以上待っても結論は同じだ」「維新への風当たりが強くなっている」と早期決着を求める声が上がる。

 2021年の知事選で維新とともに斎藤氏を推薦した自民党は、早々に「辞職要求」のスタンスを明らかにした。また、県議会第4会派のひょうご県民連合(立憲民主党系など)は8月30日、斎藤知事に対する不信任決議案を提出する方針を決定。これ以上対応が後手に回れば、党勢への影響は必至というわけだ。

 「不測の事態が進展していけば、県議会の解散・選挙、知事選挙も想定される」。31日、神戸市内で開いた会合の冒頭、日本維新の藤田文武幹事長はそう口火を切った。会合後の記者会見では、参加者から衆院選への影響を懸念する声があったとし、「全部白黒ついてから評価を下すかのように受け止められてきたが、他党が百条委の途中で不信任を出すと表明された。この時点で一定の評価をすべきだという結論に至った」と説明した。

 馬場伸幸代表は、8月30日の証人尋問で斎藤知事の説明を聞いた上で、県議団と協議して党の対応を決める考えを示していた。しかし、この日のパワハラを巡る尋問では、斎藤知事が「合理的(な指導)だった」と正当性を主張したのに対し、叱責された県職員は「理不尽な対応で、頭の中が真っ白になった」などと証言。随所に食い違いがみられた。